単純な計算は早くできるけど、長文問題やひねった問題ができなくて困っているなら、こっちの記事に書いてる問題集を試してみてください。
本題が後ろの方なので、最初に要約を書くことにした(2019.8追記)
100マス計算の練習というのは結局のところ「単純かつ簡単な反復練習」ですよね。
野球で言う素振りみたいな。
やなぎ
”単純に計算が遅すぎて困ってる”っていうレベルの人は練習した方がいいと思いますけど、
計算が苦にならないレベルなのに「もっとタイムを!あと1秒縮めるんだ!」みたいなタイムアタックになっちゃってる子って
みたいな脳内回路が出来上がっちゃって、
っていう趣向に陥りがち。ボクの観測範囲では。(ボクの長女も含めて)
単純な計算問題が早く解けるようになれば学校のしょうもないテストの点数はそれなりに上がるでしょうけど、その代償が「難しい問題に取り組めなくなる」って割に合わなすぎじゃない?
「計算は出来るけど問題文から式を立てられません!考えるの嫌です!手軽に答えが出る問題ください!」
なんて、こんな子になったら嫌だわー。ボク。
というわけで糸山メソッドを取り入れたわけなのです。
要約おわりっ!!
この後はしばらく駄文が続くので、真面目に勉強の話だけ読みたいひとは
ボク「つ、妻ちゃん!いまさら100ます計算なんてやらせないで!」
妻「うるさいですね……」ピッ(ストップウォッチを押す音)
長女「うぁあぁぁぁおぁぁあーーー!」カキカキカキーーーー!!!
妻「はい、今日の計算は終わり。お疲れ様でした」
長女「うぅ……あ、ありがとうございました……」
数週間前、娘たちの学習方針について妻と話し合ったところ
「ボクだけはなく日中家にいる妻ちゃんが熱心に教育に取り組んでくれないと娘たちの学力向上が望めないのでは?」という懸念があり、結果、妻ちゃんが教育に関する本を読むようになってくれた。
しかし、妻ちゃんはなんだか教育のことを考えるのがキライみたいで、いつもいつも流行りの学習法の表面をなぞってはボクの頭イタイイタイなのであった。
足し算、引き算ができるようになった後は何を勉強するべきか
3歳からUNOとトランプで数字を教え、7並べで順序を教え、1円玉と10円玉を使って桁の概念を教え、足し算、引き算を教え、算数忍者で反応速度を鍛え続け、年長の時点で既に完成の域に達しつつあった長女ちゃんに!?いまさら100マス計算をやらせるの??
何のために100マス計算をやるのか、陰山先生の言わんとしていることを理解しているのか、長女に必要なこと、足りていないことはなんなのか、問いたい。問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
というのは言い過ぎで、久しぶりに吉牛コピペを言いたいだけだったのですが、長女は別に嫌がっていないし、100ます計算なら時間もかからないし、妻の自発的な取り組みを否定してやる気を削いでしまうのも憚られたので、そっちはそっちで進めてもらうとして、次に何に取り組むべきか、良い教材は無いかなと探していたら見つけました。糸山泰造先生を!糸山メソッドを!
児童教育界の光と影。隂山英男先生のアンチテーゼ、それが糸山泰造先生。
陰山先生は知ってるけど、糸山先生は知らないって?
そりゃ陰山先生は100ます計算で児童の学力を向上させたし、教育委員長もやったりしたし、当然wikipediaにも載ってるし、twitterも毎日のように更新するし、公式サイトは今風でポップな感じだし、学習支援を装ってるけど実はそれ、ただの個人の趣味ですよねっていう歌を聞かせようとしてくるし、最近は学習支援を装うことすら放棄して普通エモい感じの歌をアップしたりするし、PVまで作り込んでくるし、まさかのアルバムまで発売したりして、なんか狡猾な知性を兼ね備えたジャイアンみたいな感じになってるからみんな知ってるのが当たり前だよね。名字からすると完璧な陰寄りなのに、実際はまさかの凄まじい陽キャ。輝かしい経歴と実績を兼ね備えた児童教育界の光。劇場版クレヨンしんちゃんなら悪の黒幕。
それに比べてさ、糸山先生はwikipediaに載ってないし、twitterは2015年から止まってるし、公式サイトは「え?1990年台にタイムスリップした?」て感じのオールドスタイルだし、え?もしかして闇サイト?どこかにやばい分割ファイルが隠れてる?って不安になるし、どこに何の情報があるのかよくわからない素人お断りな作りだし、すぐ糸山ワールドでしか聞かない専門用語を連発するし、100ます計算はクソ的な主義だから、知らないのは当然かもしれない。そしてボクは「俺を勝手に影側にするな」と怒られるかもしれない。
でもね、日本の未来を担うスーパーエリートを養成するための進学塾『希学園』。そこで使用されているテキストに掲載されている問題をつくったのが糸山先生なんだよ?すごいね!
やなぎ
陰山メソッド VS 糸山メソッド
基礎なくして応用できず。
100ます計算やれ。100ます計算。
やなぎ
反復練習は頭を使わない習慣を作るため害悪。
いくら反復しても応用は解けぬ。
100ます計算やめて『視考力』を鍛えろ。『視考力』
やなぎ
糸山泰造先生は塾の講師をしていたようですが、そのときは反復学習を基礎として応用力が育まれるという陰山先生のような考えを持って、暗記、暗算、パターン分析で指導していたようです。
ですが、そのような指導では応用力が問われる問題で力が発揮できないという事実に直面し、反復やパターン学習の強化は受験には対応できても自分で考えられるようになるわけではないと実感したとのこと。
糸山メソッドでは何を重要視しているのか。
視考力とは
糸山メソッドの頻出ワード「視て考える力」と書いて視考力です。
糸山メソッドでは「わかる」=「言葉から図、絵がイメージできる」と定義しています。言葉だけを知っていても、それがイメージと結びついていなければ、わかったことにはなりません。
そして「考える」というのは「イメージしたもの(図、絵)を移動、変形したりして操作する」ことを指しており、このことから「視考力」というのは、文字で書かれた問題をまず図や絵といったイメージに変換し、そのイメージをしっかり視て答えを導き出す力と思ってもらえれば大体あっているはずです。
式を立てて計算することよりも、絵を描いて、それを見て、動かして答えを出せということを言っているんですね。
なぜならイメージによって説明できないということは、問題から解答までの道筋がしっかりと理解できていないということであり、そのような状態ならば式も立てられないはずだからということなのだと思います。
イメージで理解せずに、文章題の数字を今までのパターン通りになんとなーく式に入れて計算をしていると、見たことのないパターンの問題では何もできない子供になりますよーという主張です。
やなぎ
ちなみに『言葉のトリガー理論』なる単語も出てきますが、言ってることは多分この『視考力』とおんなじはず。
やなぎ
反復練習やパターン学習では問題を解くための道筋を自分の頭で考える訓練にならないので、そのようなテストでしか役に立たないことを鍛えるより、もっと本質的な頭の使い方を鍛えろといっているような感じですね。
とはいいつつも、最終的には立式して計算することは必要なので、ある程度の速度で計算できるに越したことはありません。繰り上がり、繰り下がり、九九もパっと答えが出るようになるまでは反復練習も必要かなと。そのようなレベルを超えているにもかかわらず100ます計算に注力するのは流石に無駄だと思いますが。
12歳(思考の臨界期)までに育む絶対学力
これも糸山メソッドの頻出ワード『絶対学力』。言いたいことは『視考力』と同じようなことだと思うんですよね。厳密な違いがわかりません。
反復練習やパターン学習みたいな枠に嵌った解答導出ツールみたいなのが『借り物の思考回路』と言って『絶対学力』の対義語として出てきます。なので『視考力』のような「ツールではなく、ゼロから自分の頭で答えまでの道筋を考える力」みたいなものを『絶対学力』と呼んでいるみたい。
なぜ12歳までなのかというと、12歳が『思考の臨界期』だから。
『思考の臨界期』ってのはざっくり言うと、脳の中で新しい思考回路網を作れなくなるタイミング。早い子は7歳くらい、遅い子は12歳くらいで新しい思考回路網を作れなくなり、しかもあまり使ってこなかった思考回路は無くなっていくとのこと。なのでこの時期までに反復練習ばっかりやってると、自分の頭で考える思考回路が無くなっちゃいますよーという主張です。
この『思考の臨界期』てのはアメリカの国立衛生研究所の研究で明らかになっている!と記載されているんですけど、ググってみても出てくるのは糸山メソッド関係の情報ばっかり。
やなぎ
という気がしないでもないです。子供の思考パターンに本当にそんな性質差が有意に現れるのか、12歳以降のリカバーは不可能なのか、実証実験をしているわけでも無さそうですし。
そもそもですね、現実的に考えて日々の生活のうち反復練習にかける時間なんてたかが知れているじゃないですか。反復練習以外の体験の方が圧倒的に多いですよ。そこでも色々と考えながら生きているわけですから、「反復練習してると自分の頭で考えられなくなる」というのはかなり無理筋な意見じゃないかなと感じますね。起きてる間は反復練習しかしていません、というのならわかりますが。
やなぎ
陰山メソッドと糸山メソッド、両方やればいいじゃない
陰山メソッドも糸山メソッドも、どちらも良いことを言っているとボクは思います。どちらしか選べないというわけではないので、デメリットを最小化できるよう両方のメソッドを組み合わせるのが最適なんじゃないでしょうか。
100ます計算(反復練習による暗記、計算高速化)のメリット、デメリット
日常生活でも学校でも計算は避けて通れないため、「単純な計算すら負担」という状況のデメリットは計り知れません。その結果、授業が理解できない、テストで点が取れないとなると、学校ひいては勉強嫌いを促進させることになるのではないかという懸念があります。なので、悩まずにポン、ポンと答えが出てくるレベルまでは計算力を鍛えた方がいいと考えます。
計算というのはあくまで問題を解くための手段の1つでしかないので、そればかりにリソースを割くのはあまり効果的ではないですよね。計算が早いのは良いことですが、「問題を理解して答えを導くことの方が重要なんだよ」、ということは子供と認識を合わせておかなくてはなりません。
糸山先生は「反復練習していると自分の頭で考えられなくなる」と言いますが、それについては糸山メソッドも平行して取り組めばいいだけだと思うので、そこまで徹底して反復練習を避ける必要はないかな、とは思います。
やなぎ
糸山メソッドのメリット、デメリット
糸山メソッドは従来の勉強法(反復、暗記、パターン)の否定であり、テストで簡単に早く点を取るための勉強法の否定なので、こちらに傾倒してしまうと低学年における学校の成績が伸び悩む可能性が考えられます。問題が難しくなってくると逆転してくるのかもしれませんが、それまでの成功体験が得られないというのも大きな損失ですね。
しかしながら糸山メソッドで鍛える能力は反復練習やパターン暗記では鍛えることが難しく、計算よりも問題解決の本質に近い部分ですので、やなぎ的にはこちらの方に時間をかけたい。なので、計算力がそこそこのレベルに到達した後は糸山メソッドを重点的に取り組んでいこうと思います。