音楽知識ゼロから始める suno.ai 楽曲制作【楽器プロンプト編】

それでは、「楽器プロンプト辞典」の第一章、【カテゴリー1:役割・セクション】を始めましょう。これは、各楽器に「君の今回の仕事はこれだ!」と役割分担を命じるための、極めて重要なプロンプト群です。


楽器プロンプト辞典【役割・セクション編】

ここでは、役割を大きく4つのグループに分けて解説します。

A. リズムと土台を司るパート (Rhythmic Foundation)

楽曲の骨格、心臓部、そしてダンスの源です。これがなければ音楽は成り立ちません。

  • Rhythm Section (リズムセクション)
    • 解説: ドラム、ベース、そしてリズムギターやピアノなど、楽曲の根幹を支えるパートの総称です。「しっかりとした土台が欲しい」時に使うと、Sunoは安定したバンドサウンドの基盤を構築しようとします。
    • 使用例: 80s pop rock rhythm section
  • Drums / Drum Beat (ドラム / ドラムビート)
    • 解説: 曲の心拍となるリズムそのものを指します。単に Drums と言うだけでなく、Driving drum beat (疾走感のあるビート) のように修飾語をつけると効果的です。
    • 使用例: Heavy and slow drum beat
  • Percussion (パーカッション)
    • 解説: ドラムセット以外の打楽器全般です。タンバリン、コンガ、シェイカー、トライアングルなど。曲に彩りや特定の文化の香りを加えたい時に使います。
    • 使用例: Latin percussion
  • Bassline (ベースライン)
    • 解説: 曲の最低音部を受け持ち、リズムとハーモニーを繋ぐ超重要パートです。Funky bassline, Melodic bassline のように、どんな性格のベースラインが欲しいかを伝えます。
    • 使用例: A groovy and funky bassline
  • Groove (グルーヴ)
    • 解説: リズム隊全体が生み出す「ノリ」や「うねり」を指す、少し抽象的な言葉です。しかし、Funky groove, Tight groove のように使うと、Sunoは一体感のある心地よいリズムセクションを生成しようと試みます。

「A. リズムと土台」の階層構造(ピラミッドで考える)

このパートを、家を建てるプロセスに例えてみましょう。

頂点(最も抽象的):【グルーヴ (Groove)】

  • 役割: 家の「住み心地」「雰囲気」
  • 解説: これは具体的な「モノ」ではありません。「リズム隊が生み出す、心地よいノリや一体感」という結果、あるいはフィーリングを指す言葉です。Sunoに「Groove」と指示するのは、「住み心地の良い家にしてくれ」と建築家に伝えるようなものです。非常に強力ですが、抽象的な指示です。

中間層(包括的な集合名):【リズムセクション (Rhythm Section)】

  • 役割: 家の「基礎工事チーム」
  • 解説: これが、あなたが指摘した上位概念です。「リズムを演奏するパートの集まり」全体を指す言葉です。建築で言えば、「基礎工事を担当するチーム全員」を指します。Sunoに「Rhythm Section」と指示するのは、「腕のいい基礎工事チームを呼んでくれ」と依頼するようなものです。

土台(必須の構成要素):【ドラム (Drums)】と【ベースライン (Bassline)】

  • 役割: 家の「基礎コンクリート」と「大黒柱」
  • 解説: これらが具体的な楽器パートであり、ほとんどのポピュラー音楽において必須の要素です。
    • ドラム (Drums / Drum Beat): 曲の時間を司る「心臓」です。テンポやリズムパターンを決定します。家の土台となるコンクリートです。
    • ベースライン (Bassline): 曲の響きを底辺から支える「背骨」です。リズムとメロディの橋渡しをします。家の根幹を支える大黒柱です。
  • 結論: あなたの「リズムセクションが無いというのは曲としてありえない」という感覚は、この「ドラムとベース(あるいはそれに代わるもの)がないと曲の構造が成り立たない」という本質を捉えています。

選択的な装飾:【パーカッション (Percussion)】

  • 役割: 家の「壁紙」や「装飾品」
  • 解説: これが選択的な要素です。あなたの言う通り、パーカッションがなくても曲は成立します。しかし、タンバリンやコンガが入ることで、曲はより華やかになったり、ラテン風になったりと、特定の「個性」や「彩り」が加わります。家が建った後に、どんな壁紙を貼るか、どんな飾りを置くか、という選択肢に似ています。

プロンプトへの応用

この階層を理解すると、Sunoへの指示の出し方が変わります。

  • 悪い例(平面的):Drums, Bass, Percussion
    • ただ楽器を並べただけ。Sunoは「はい、3つ入れますね」としか考えません。
  • 良い例(立体的・意図的):
    1. まず、どんなグルーヴが欲しいか考える。「タイトでファンキーなグルーヴが欲しいな」
    2. そのグルーヴを作るために、どんなドラムベースが必要か指示する。「Tight drum beat, Funky slap bassline
    3. 彩りとしてパーカッションを加えるか決める。「コンガを加えてラテンの雰囲気も少し足そう」→「with conga percussion
    4. 完成プロンプト例:A tight and funky groove, with a tight drum beat, a funky slap bassline, and conga percussion.
      • (タイトでファンキーなグルーヴ。タイトなドラムビートと、ファンキーなスラップベースライン、そしてコンガのパーカッションを伴う)

素晴らしいことに、グルーヴの世界にも、ある種の体系と階層が存在します。

まず、「タイト」のような言葉は、グルーヴの「性格・性質」を表す形容詞です。
次に、「シャッフル」のような言葉は、グルーヴの具体的な「種類・パターン名」です。

最初に、最も重要な2つの「性格」である「タイト」と「ファンキー」から解説します。


グルーヴの性格を表現する言葉

1. タイト (Tight) vs. ルーズ (Loose)

  • タイト (Tight):
    • 一言で言うと: 「カッチリ」「正確無比」
    • イメージ: 精密な機械、揃った行進、寸分の狂いもなく組まれたレゴブロック。ドラムとベースの音が、まるで一つの楽器から出ているかのように完璧にタイミングが合っている状態です。
    • 与える印象: 緊張感、疾走感、クールさ、プロフェッショナル感。
    • Sunoへの指示: A tight groove, Tight rhythm section
  • ルーズ (Loose) / レイドバック (Laid-back):
    • 一言で言うと: 「ゆったり」「タメがある」
    • イメージ: 休日の昼下がり、リラックスした会話、少し遅れてやってくるバス。わざとジャストのタイミングから少しだけ遅らせて(”レイドバック”させて)演奏することで、人間的な温かみや「こなれ感」を生み出します。
    • 与える印象: リラックス、心地よさ、気だるさ、渋さ。
    • Sunoへの指示: A loose groove, Laid-back drums

2. ファンキー (Funky)

  • 一言で言うと: 「ノリが良い」「体が勝手に動く」
  • イメージ: スキップしながら歩くこと、単調な点滅ではないネオンサイン。普通の8ビートが「1・2・3・4」と等間隔に足を前に出す歩き方だとすれば、ファンキーなビートは「1・・2・・3・・4・」のように、拍の隙間(16分音符の裏拍)を強調して、独特の「跳ね」や「うねり」を生み出すリズムです。ジェームス・ブラウンの音楽を聴くと一発で分かります。
  • 与える印象: 楽しさ、ダンサブル、セクシー、ご機嫌な感じ。
  • Sunoへの指示: A funky groove, Funky bassline

グルーヴの種類辞典 (メジャーから珍しいものまで)

これらの「性格」を理解した上で、具体的なグルーヴの「種類」を見ていきましょう。

A. 基本のビート (全ての基礎)

  • Backbeat (バックビート)
    • 解説: 4拍子のうち、2拍目と4拍目をスネアドラムで強く叩く、ポピュラー音楽の最も基本的なリズム。「ドン・タン・ドン・タン」というアレです。ロック、ポップス、R&Bなど、ほぼ全てのジャンルの根幹にあります。
    • ジャンル: Rock, Pop, Funk, R&B, etc.
    • Sunoプロンプト例: A simple and strong backbeat
  • Four-on-the-floor (フォー・オン・ザ・フロア)
    • 解説: 4拍子の全てでバスドラムを均等に踏み鳴らすリズム。「ドンドンドンドン」というビートです。非常にダンサブルで、リスナーに一定のBPMを意識させやすいのが特徴です。
    • ジャンル: Disco, House, Techno, EDM
    • Sunoプロンプト例: An energetic four-on-the-floor dance beat

B. 特徴的な「ノリ」を持つビート

  • Shuffle (シャッフル)
    • 解説: 「タッカタッカ」という跳ねるようなリズムパターン。「ドン・タッカ・ドン・タッカ」という感じです。ブルースや古いロックンロールの基本となるグルーヴです。
    • ジャンル: Blues, Rock and Roll, Jazz
    • Sunoプロンプト例: A lazy blues shuffle groove
  • Swing (スウィング)
    • 解説: シャッフルと似ていますが、より滑らかで即興的なニュアンスが強い、ジャズの基本的なリズムです。体が自然に揺れるような心地よさがあります。
    • ジャンル: Jazz, Big Band
    • Sunoプロンプト例: A classic jazz swing rhythm section
  • One Drop (ワンドロップ)
    • 解説: レゲエ特有のリズム。通常1拍目にくるバスドラムを抜いて、3拍目にアクセントを置くのが特徴です。ゆったりとした裏拍のリズムが独特の浮遊感を生みます。
    • ジャンル: Reggae, Dub
    • Sunoプロンプト例: A laid-back reggae one drop groove

C. ヒップホップと電子音楽のビート

  • Boom Bap (ブーンバップ)
    • 解説: 90年代のヒップホップを象徴するリズム。「Boom(バスドラム)」と「Bap(スネア)」の音が強調された、ザラついていて力強いビートです。
    • ジャンル: 90s Hip Hop, Lo-fi Hip Hop
    • Sunoプロンプト例: A gritty 90s boom bap beat
  • Trap Beat (トラップビート)
    • 解説: 2010年代以降のヒップホップやポップスを席巻したリズム。TR-808というドラムマシンの重いキックと、細かく「チキチキチキ」と刻まれるハイハットが特徴です。
    • ジャンル: Trap, Hip Hop, Modern Pop
    • Sunoプロンプト例: A modern trap beat with rapid-fire hi-hats
  • Breakbeat (ブレイクビート)
    • 解説: ファンクやソウルのレコードから、ドラムソロの部分(ブレイク)だけを抜き出してループさせたものが起源。サンプリング文化の象徴であり、ヒップホップや多くの電子音楽の源流となりました。複雑でシンコペーションの多いリズムです。
    • ジャンル: Hip Hop, Drum and Bass, Big Beat
    • Sunoプロンプト例: An old-school funk breakbeat

D. マニアックだが強力なビート

  • Motorik Beat (モータリックビート)
    • 解説: 70年代のドイツのロック(クラウトロック)で生まれた、ミニマルで催眠的な8ビート。「タタタタタタタタ」とスネアが細かく続く、機械的な反復が特徴。延々と続く高速道路を走っているような感覚になります。
    • ジャンル: Krautrock, Post-Rock
    • Sunoプロンプト例: A hypnotic and driving motorik beat
  • Polyrhythm (ポリリズム)
    • 解説: 4拍子のリズムの上で、同時に3拍子のメロディが鳴るなど、異なる拍子が同時に演奏される高度なリズム構造です。知的で、独特の浮遊感や緊張感を生み出します。
    • ジャンル: Progressive Rock, Math Rock, Jazz Fusion, World Music
    • Sunoプロンプト例: Complex polyrhythm percussion

まとめと実践

これで、グルーヴの「性格(形容詞)」「種類(名詞)」を組み合わせる準備ができました。

  • 「カッチリしたハウスミュージック」→ A tight four-on-the-floor beat
  • 「ゆったりしたブルース」→ A loose and laid-back shuffle groove
  • 「ノリの良い90年代ヒップホップ」→ A funky boom bap beat

グルーヴは「エンジン」、ジャンルは「自動車」

この関係を、自動車に例えてみましょう。

  • グルーヴ (Groove):
    • これは「エンジンの種類」です。例えば、「V型8気筒エンジン」や「電気モーター」のようなものです。それは自動車の心臓部であり、動き方(=ノリ)を決定づける最も重要なパーツの一つです。
    • ブレイクビートブーンバップは、まさにこの「特定の種類のエンジン」にあたります。
  • ジャンル (Genre):
    • これは「自動車のモデル名」です。例えば、「マッスルカー」や「最新の電気自動車(EV)」です。
    • ジャンルは、エンジンの種類だけでなく、ボディのデザイン(=楽器編成)、内装(=ボーカルスタイル)、色(=サウンドの質感)、そしてどんな目的で使われるか(=文化的背景)といった、全ての要素をパッケージにしたものです。

「ブレイクビート」の物語

  1. 【グルーヴの誕生】: 1970年代、DJたちがファンクやソウルのレコードから、ドラムとベースだけの「ブレイク部分」を抜き出してループさせ始めました。この「ループされたドラムブレイクのリズムパターン」こそが、ブレイクビートというグルーヴです。この時点では、まだ特定の「音楽ジャンル」ではありませんでした。
  2. 【ジャンルの誕生】: このブレイクビートという強力なエンジン(グルーヴ)の上に、MCたちがラップを乗せ、プロデューサーたちが新たなサウンド(サンプリング、ベースライン)を加えました。この「ブレイクビート+ラップ+サンプリング文化」というパッケージが組み合わさって、ヒップホップというジャンルが誕生したのです。
  3. 【さらなる進化】: 後に、イギリスのプロデューサーたちがこのブレイクビートというエンジンをチューンナップし、極端に速くして重低音を加えました。その結果、ジャングルドラムンベースといった、全く新しいモデルの自動車(ジャンル)が生まれたのです。エンジンは同じブレイクビートでも、出来上がった車は全くの別物です。

「ブーンバップ」の物語

  1. 【グルーヴの特定化】: ブーンバップは、ヒップホップというジャンルの中で、1990年代に特に流行した特定の「味付け」がされたグルーヴです。サンプラーという機材を使って作られた、少しザラザラしていて、力強いキック(ブーン)とスネア(バップ)が特徴のリズム。これはブレイクビートから派生した、より具体的なグルーヴのスタイルと言えます。
  2. 【サブジャンルへ】: このブーンバップというグルーヴがあまりに象徴的だったため、そのグルーヴを持つ90年代のヒップホップ全体(特に東海岸のスタイル)を指して「ブーンバップ」と呼ぶようになりました。つまり、特定のグルーヴ名が、ヒップホップという大きなジャンルの中の、一つのサブジャンル名としても使われるようになったのです。

結論とSunoへの応用

グルーヴは「リズムの様式」です。

  • ジャンルは「音楽全体の様式」です。

そして、非常に影響力の強いグルーヴは、しばしばそれ自体がジャンル(またはサブジャンル)の代名詞になることがあります。ブーンバップスウィング(ジャズ)、レゲトンなどはその典型例です。

この理解は、Sunoのプロンプト作成において絶大な力を発揮します。

  • a funky breakbeat groove と書けば、Sunoはリズムパターンに集中します。その上にJ-POPのメロディを乗せることも可能です。
  • 90s Boom Bap Hip Hop と書けば、Sunoはグルーヴだけでなく、それに合ったベースの音色、サンプリング風の質感、当時のラップスタイルまで含めたパッケージを生成しようとします。

グルーヴ辞典 Ver. 3.0 (2020年代フォーカス版)

【更新】第三階層:ブレイクビートとその巨大なファミリー (The Breakbeat Family)

あなたの想像通り、ブレイクビートはヒップホップだけでなく、ダンスミュージックの巨大な源流です。

  • Breakbeat (ブレイクビート) – 【大いなる親】
    • 子孫たち:
      • Hip Hop (ヒップホップ): ブレイクビートを比較的オリジナルの速度で使い、ラップを乗せた最初の子供。ここからBoom Bapなどのスタイルが生まれる。
      • Jungle / Drum and Bass (ジャングル / ドラムンベース): ブレイクビートを極端に高速化し、重いベースラインと組み合わせた、イギリス生まれの攻撃的な子供。
      • Big Beat (ビッグビート): ブレイクビートに、ロックの歪んだギターリフや派手なシンセサイザーを組み合わせた、90年代後半に流行したパワフルな子供。
      • Trip Hop (トリップホップ): ブレイクビートを遅く、重くし、気だるい雰囲気(Laid-back)にした、ムーディーな子供。

【新設】第四階層:トラップ王朝 (The Trap Dynasty)

2010年代に登場し、2020年代のあらゆる音楽ジャンルを支配下に置いた、ブレイクビートとは別の巨大な勢力です。もはやヒップホップの一種ではなく、独立した「王朝」と呼ぶべき存在です。

  • Trap Beat (トラップビート) – 【初代皇帝】
    • 位置付け: 2020年代のポップミュージックにおける新たなデフォルト・グルーヴ。特徴は「TR-808の重いキック」と「チキチキと高速で刻まれるハイハット(Rapid-fire hi-hats)」。
    • Sunoプロンプト例: Modern trap beat with rolling hi-hats
    • 派生・進化形:
      • Drill (ドリル): トラップから派生した、よりダークで不穏なグルーヴ。独特の3連符を多用したベースラインの「うねり」が特徴。UKやブルックリンで発展。
      • Pop Smoke-type beat: Drillの代表的アーティスト名を使い、そのスタイルを具体的に指示するプロンプト。

【更新】第五階層:グローバル・リズム(旧:各地域の文化的グルーヴ)

あなたの指摘通り、このカテゴリは非常に広大です。特に2020年代は、西欧中心ではない「グローバルな」グルーヴが世界中のチャートを席巻しています。

  • Reggaeton (レゲトン)
    • 位置付け: ラテンアメリカから世界へ広がった、現代の最も影響力のあるダンスグルーヴの一つ。「デンボー(Dem Bow)」と呼ばれる「ドン・パッ・ドン・パッ」という特徴的なリズムパターンが核となっています。
    • Sunoプロンプト例: A driving reggaeton dem bow rhythm
  • Afrobeats (アフロビーツ)
    • 位置付け: ナイジェリアなど西アフリカ発祥の、非常に複雑でダンサブルなグルーヴの総称。複数のパーカッションが絡み合う、ポリリズミックな心地よさが特徴です。
    • Sunoプロンプト例: A modern Nigerian Afrobeats groove
  • Amapiano (アマピアノ)
    • 位置付け: 南アフリカ発祥の、ディープハウスとジャズの要素を併せ持つグルーヴ。特徴的な「ログドラム(Log Drum)」という太いベースサウンドと、ゆったりしたテンポが特徴です。2020年代に急速に人気を拡大しています。
    • Sunoプロンプト例: A chill Amapiano groove with a deep log drum bassline
  • Baile Funk / Funk Carioca (バイレファンキ / ファンキ・カリオカ)
    • 位置付け: ブラジルのリオデジャネイロのスラム(ファベーラ)で生まれた、非常にプリミティブで攻撃的なダンスグルーヴ。独特のパーカッションパターンが特徴です。

【更新】第六階層:コンセプチュアルなグルーヴ

ここも、現代の電子音楽や実験的な音楽を探求する上で、さらに多くの概念があります。

  • Motorik Beat, Polyrhythm
  • 【新】Glitch / Stutter Beat (グリッチ / スタッタービート)
    • 位置付け: デジタルエラーや音飛び(グリッチ)、どもるような音の反復(スタッター)を意図的にリズムとして利用するスタイル。HyperpopやIDMといったジャンルの核心です。
    • Sunoプロンプト例: A chaotic glitch beat with stuttering vocal chops
  • 【新】Half-time / Double-time (ハーフタイム / ダブルタイム)
    • 位置付け: 曲の途中で、ドラムの刻み方を半分にしたり(ハーフタイム)、倍にしたり(ダブルタイム)することで、体感速度を劇的に変化させるテクニック。DubstepやTrapで、曲の展開(ドロップ)を演出するためによく使われます。

リズムセクションとは何か?(再確認)

リズムセクションとは、個別の楽器名ではなく、楽曲のリズムとハーモニーの土台を演奏する楽器群の総称です。Sunoにこの言葉を使うのは、「個々の楽器を鳴らせ」という命令ではなく、「息の合ったバンド演奏の土台を作れ」という、より高度で音楽的な指示になります。

主なチームメンバー:

  • 【核となるメンバー】
    • ドラム (Drums): 時間とリズムパターンを司る心臓部。
    • ベース (Bass): リズムとハーモニーを繋ぐ背骨。
  • 【準メンバー(しばしば参加)】
    • リズムギター (Rhythm Guitar): コードを刻み、リズムを補強する。
    • キーボード (Keyboards / Piano / Organ): ギターと同じく、コードを弾いてリズムとハーモニーを支える。

リズムセクションのスタイルを指定するプロンプト辞典

Sunoに単に Rhythm Section と伝えても、「どんなチームを呼べばいいですか?」と困ってしまいます。重要なのは、「どんな性格の、どんな専門のチームに来てほしいか」を伝えることです。そのための修飾語を網羅的にリストアップします。

A. チームの「性格・演奏スタイル」を指示する

これは、チームの演奏がカッチリしているか、ゆったりしているかといった、パフォーマンスの質感を指定します。

  • Tight Rhythm Section (タイトなリズムセクション)
    • 解説: 機械のように正確で、寸分の狂いもないカッチリとした演奏。クールさや緊張感を演出します。
  • Loose / Laid-back Rhythm Section (ルーズ/レイドバックなリズムセクション)
    • 解説: ジャストのタイミングから意図的に少しタメを作る、リラックスした人間的な演奏。心地よさや渋さを生み出します。
  • Funky Rhythm Section (ファンキーなリズムセクション)
    • 解説: メンバー全員が一体となって、体が動くような「うねり」や「跳ね」を生み出す演奏。
  • Groovy Rhythm Section (グルーヴィーなリズムセクション)
    • 解説: Funky と似ていますが、より広く「ノリが良い」「心地よい」アンサンブル全般を指します。
  • Heavy / Powerful Rhythm Section (ヘヴィ/パワフルなリズムセクション)
    • 解説: 音圧があり、重く力強い演奏。ロックやメタルで多用されます。
  • Light / Gentle Rhythm Section (ライト/ジェントルなリズムセクション)
    • 解説: 軽やかで優しい演奏。アコースティックな曲やバラードに適しています。
  • Driving Rhythm Section (ドライヴィングなリズムセクション)
    • 解説: 前へ前へと進む推進力、疾走感のある演奏。アップテンポな曲で効果的です。
  • Minimal / Sparse Rhythm Section (ミニマル/スパースなリズムセクション)
    • 解説: 音数を極限まで減らした、シンプルな演奏。空間を活かした、洗練された雰囲気になります。
  • Complex Rhythm Section (コンプレックスなリズムセクション)
    • 解説: 複雑なリズムパターンやポリリズムを駆使する、技巧的な演奏。プログレやジャズフュージョンなどで使われます。

B. チームの「専門分野(ジャンル)」を指示する

これは、どんな音楽ジャンルを専門とするプロフェッショナルチームに来てほしいかを指定します。

  • Rock Rhythm Section
    • 解説: ドラム、ベース、リズムギターによる、パワフルでストレートなアンサンブルが期待できます。
  • Jazz Rhythm Section
    • 解説: 通常、ドラム、ウッドベース、ピアノ(またはギター)による、スウィング感のある即興的なアンサンブルになります。
  • Funk Rhythm Section
    • 解説: 16ビートを基調とした、カッティングギターやうねるベースラインが特徴的なタイトでグルーヴィーなチームです。
  • Metal Rhythm Section
    • 解説: ツーバスドラムや重く歪んだギターリフが特徴の、非常にヘヴィで攻撃的な演奏になります。
  • Reggae Rhythm Section
    • 解説: ワンドロップのリズムを基本とした、裏拍を強調する独特のゆったりしたアンサンブルです。
  • Pop Rhythm Section
    • 解説: その時代の流行に合わせた、クリーンでバランスの取れた演奏。ジャンルを指定しない場合のデフォルトに近い選択肢です。
  • Electronic Rhythm Section
    • 解説: 生楽器ではなく、ドラムマシン、シンセベース、シーケンサーなどで構築されたリズム隊を指します。

実践的なプロンプトの組み合わせ例

これらの「性格」と「専門分野」を組み合わせることで、あなたの理想の「基礎工事チーム」をSunoに召喚できます。

  • 例1:90年代のオルタナティブロックが作りたい
    • A powerful and tight rock rhythm section (パワフルでタイトなロックのリズムセクション)
  • 例2:休日の朝に聴くようなオシャレなジャズが作りたい
    • A light and loose jazz rhythm section, featuring piano (ピアノをフィーチャーした、軽やかでルーズなジャズのリズムセクション)
  • 例3:ジェームス・ブラウンのようなファンクが作りたい
    • A very tight and driving funk rhythm section (非常にタイトでドライヴィングなファンクのリズムセクション)

この「リズムセクション」という包括的なプロンプトを理解することで、あなたは個々の楽器に指示を出すことから、バンド全体のアンサンブルをプロデュースするという、より高い視点に立つことができます。

楽器プロンプト辞典【ドラム編】

Sunoにドラムを指示する際、単に Drums と言うだけでなく、以下の4つのカテゴリーを意識することで、ドラマーに直接語りかけるように、非常に具体的な指示を出すことができます。

カテゴリー1:ドラムの種類 (Drum Kit Type)

どんな「楽器セット」を使ってほしいかを指定します。サウンドの質感を根底から決定する、最も重要な要素です。

  • Acoustic Drum Kit / Real Drums (アコースティックドラム)
    • 解説: 生のドラムセット。ロック、ジャズ、ファンクなど、人間的な躍動感が欲しい場合の基本です。
  • Drum Machine (ドラムマシン)
    • 解説: 電子的なドラム音源の総称。正確無比なリズムや、80年代のポップス、現代のEDMなどで使われます。
  • TR-808 / 808s
    • 解説: 最も有名なドラムマシンの一つ。「ドゥーン」という地を這うような深いバスドラム(キック)と、「チッ」という鋭いハイハットが特徴。ヒップホップ、トラップのサウンドに不可欠です。
  • TR-909 / 909s
    • 解説: 808と並ぶ伝説のドラムマシン。「ドン!」という硬質でパンチのあるキックが特徴で、ハウスやテクノといったダンスミュージックの基本です。
  • LinnDrum
    • 解説: 80年代のポップシーンを席巻したドラムマシン。PrinceやMichael Jacksonの楽曲で聴けるような、リアルさと電子音の中間のようなサウンドです。
  • Vintage Drum Kit (ヴィンテージドラム)
    • 解説: 60年代〜70年代の、少し乾いた、暖かみのあるサウンドの生ドラムを指します。
  • Heavy Metal Drum Kit (ヘヴィメタルドラム)
    • 解説: シンバルが多く、パワフルで音圧のあるサウンド。ツーバス(バスドラムが2つ)の高速連打を想起させます。
  • Jazz Drum Kit (ジャズドラム)
    • 解説:繊細な表現が可能な小さめのキット。特にライドシンバルの「チーン」という音が重視されます。
  • Brushed Drums / Drums with brushes (ブラシを使ったドラム)
    • 解説: スティックの代わりにブラシを使い、「サー」という優しい音を出す奏法。ジャズバラードや静かな曲で使われます。

カテゴリー2:演奏スタイル / フィール (Playing Style / Feel)

ドラマーに「どう叩いてほしいか」という、感情やニュアンスを伝えます。

  • Powerful / Heavy Drumming (パワフル/ヘヴィなドラミング)
    • 解説: 力強く、アタックの強い演奏。
  • Light / Gentle Drumming (ライト/ジェントルなドラミング)
    • 解説: 軽やかで、タッチの優しい演奏。
  • Simple / Minimal Drumming (シンプル/ミニマルなドラミング)
    • 解説: 音数を抑えた、基本的なビート。
  • Busy / Complex Drumming (ビジー/コンプレックスなドラミング)
    • 解説: 手数(音数)が多く、技巧的な演奏。
  • Syncopated Drumming (シンコペーションの多いドラミング)
    • 解説: 拍のウラを強調する、食い気味のリズム。ファンキーさやノリの良さに繋がります。
  • Blast Beat (ブラストビート)
    • 解説: デスメタルなどで使われる、機関銃のような超高速の連打。

カテゴリー3:特定のパートの強調 (Emphasis on Specific Parts)

ドラムセットの特定のパーツの音色やパターンを具体的に指示する、プロフェッショナルなテクニックです。

  • キック (Kick Drum / Bass Drum):
    • Heavy Kick: 重いキック。
    • Punchy Kick: アタック感が強く、前に出てくるキック。
    • Deep 808 Kick: トラップで使われる、低く長く響くキック。
  • スネア (Snare Drum):
    • Sharp / Crisp Snare: 「タン!」とキレの良いスネア。
    • Fat Snare: 「ドン!」と太く、響きが豊かなスネア。
    • Rimshot: スネアのフチを叩く「カン!」という甲高い音。アクセントとして使われます。
  • ハイハット (Hi-hats):
    • Crisp Hi-hats: 「チキチキ」とキレの良いハイハット。
    • Open Hi-hat: 開いた状態で叩く「シャー」という持続音。
    • Rolling Hi-hats / Rapid-fire Hi-hats: 「チキチキチキチキ」と高速で連打されるハイハット。トラップの象徴的なサウンドです。
  • シンバル (Cymbals):
    • Splashing Crash Cymbals: 曲の盛り上がりで叩く「シャーン!」という派手なシンバル。
    • Shimmering Ride Cymbal: ビートを刻む「チーン、チーン」という澄んだ音のシンバル。
  • タム (Toms):
    • Rolling Tom Fills: ドラムフィル(おかず)で使われる「ドコドコドコ」というタムの連打。

カテゴリー4:プロダクション / エフェクト (Production / Effects)

ドラムの「録音の仕方」や「音の加工方法」を指示します。

  • Raw Drums (生々しいドラム)
    • 解説: エフェクト加工の少ない、録ったままのような自然なサウンド。
  • Polished Drums (磨かれたドラム)
    • 解説: 現代のポップスのように、クリアで整えられたサウンド。
  • Lo-fi Drums (ローファイなドラム)
    • 解説: 少しこもった、古いレコードのようなザラついた質感。
  • Reverb-drenched / Wet Drums (リバーブの深い/ウェットなドラム)
    • 解説: 広い空間で鳴っているような、深い残響がかかったサウンド。80年代のロックバラードなどで特徴的。
  • Dry Drums (ドライなドラム)
    • 解説: 残響がほとんどない、タイトで引き締まったサウンド。70年代のファンクなどで多用されます。
  • Compressed Drums (コンプのかかったドラム)
    • 解説: 音の粒を揃え、音圧を上げたパンチのあるサウンド。
  • Gated Reverb on Snare (スネアのゲートリバーブ)
    • 解説: 80年代を象徴するサウンド。「タン!」と鳴った瞬間に「ファー」とリバーブが広がり、すぐに「スッ」と消える独特のエフェクトです。

これで、あなたはSunoに対して「Heavy Metal Drum Kitを使ったPowerful Drummingで、特にRolling Tom Fillsを多めにしてほしい。サウンドはRaw Drumsで」といった、非常に具体的で立体的な指示が出せるようになりました。

ドラムマシン・サウンドキャラクター辞典

流派1:アナログ・ウォーム (Analog Warmth) 系

解説: 回路で電気的に音を合成する「アナログシンセシス」方式のドラムマシン。サンプリングではないため、独特の暖かみ、丸み、そしてパンチがあります。「ドスッ」「シュワッ」といった有機的な響きが特徴です。

  • キーワード: Analog Drum Machine, Vintage Analog Drums
  • 代表的なサウンド (旧機材名):
    • 808-style: 深く、長く響く「ブーン」というベース・キックが象徴。ヒップホップやトラップの低音はここから生まれました。
    • 606-style: 808よりタイトで軽快なサウンド。アシッドハウスなどで聴かれる「チキチキ」したビートに多用されます。
  • 得意なジャンル: Electro, 初期Hip Hop, Acid House, Synth-pop
  • Sunoプロンプト例: A warm analog drum machine beat

流派2:80sデジタル・ポップ (80s Digital Pop) 系

解説: 実際のドラムの音を録音(サンプリング)し、デジタルチップに焼き付けた初期のデジタルドラムマシン。少しぎこちないリアルさと、当時のデジタル技術ならではの力強く明るい音が特徴です。ゲートリバーブとの相性は抜群。

  • キーワード: 80s Digital Drum Machine, Vintage Digital Drums
  • 代表的なサウンド (旧機材名):
    • LinnDrum-style: 80年代ポップスの代名詞。Princeが愛用したことで有名。「タンッ!」と張りのあるスネアが特徴です。
    • DMX-style: LinnDrumより少し武骨で力強いサウンド。初期ヒップホップで多用されました。
  • 得意なジャンル: 80s Pop, Synthwave, Italo Disco
  • Sunoプロンプト例: Classic 80s digital drum machine with gated reverb

流派3:ハード・ダンスフロア (Hard Dance Floor) 系

解説: アナログとサンプリングを組み合わせ、とにかく硬質で、パンチがあり、フロアを揺らすことに特化したサウンド。ハウスやテクノの「ドン・ドン・ドン・ドン」という四つ打ちビートの基本形です。

  • キーワード: 909-style Drums, Techno Drum Machine, House Drum Machine
  • 代表的なサウンド (旧機材名):
    • 909-style: 全てのダンスミュージックの基本。硬く「ドン!」と鳴るキックと、オープンハイハットの「シューッ」という音が象徴的です。
  • 得意なジャンル: Techno, House, Trance, 90s Pop
  • Sunoプロンプト例: A punchy 909-style drum machine for a techno track

流派4:サンプリング・グリット (Sampling Grit) 系

解説: ドラムマシンから出る音ではなく、古いレコードなどからドラムの音をサンプリングし、MPCのような機材で再構築して作られたビート。レコードのノイズや、サンプリング時の音の劣化がもたらすザラザラした質感(グリット)が命です。

  • キーワード: Sampled Drums, MPC-style Drums, Boom Bap Drums, Lo-fi Drums
  • 得意なジャンル: 90s Hip Hop (Boom Bap), Lo-fi Hip Hop, Trip Hop
  • Sunoプロンプト例: Gritty MPC-style sampled drums with vinyl crackle (レコードノイズ付きの、ザラついたMPC風サンプリングドラム)

流派5:ハイパー・モダン (Hyper Modern) 系

解説: 現代のPCベースの音楽制作(DTM)で作られる、極めてクリーンで、加工され、音圧の高いサウンド。複数のサンプルを重ねたり(レイヤー)、強力なエフェクトをかけたりして作られる「完璧な」ドラムサウンドです。

  • キーワード: Modern Electronic Drums, EDM Drums, Trap Drums, Pop Drum Machine
  • 得意なジャンル: Modern Pop, EDM, Future Bass, Trap
  • Sunoプロンプト例: Clean and punchy modern electronic drums

流派6:インダストリアル&ディストーテッド (Industrial & Distorted) 系

解説: ドラムマシンの音を、意図的にディストーション(歪み)やビットクラッシャー(音を粗くするエフェクト)などで破壊し、攻撃的でノイジーなサウンドにしたもの。

  • キーワード: Industrial Drums, Distorted Drum Machine, Bitcrushed Drums
  • 得意なジャンル: Industrial, EBM, Hard Techno, Glitch
  • Sunoプロンプト例: Aggressive and distorted industrial drum machine beat

この分類によって、「ドラムマシン」という漠然とした指示が、「80年代ポップス風の、明るくデジタルなドラムが欲しい」(80s Digital Drum Machine)「ローファイ・ヒップホップのような、ザラついた質感のドラムが欲しい」(Lo-fi Sampled Drums) といった、極めて具体的で創造的なプロンプトへと進化します。

このドラムマシンの世界の地図は、あなたのイメージをSunoに伝える上で、非常に強力な武器となるでしょう。

楽器プロンプト辞典【ベースライン編】

Sunoに理想のベーシストを召喚するためには、以下の3つのカテゴリーを意識するのが効果的です。

カテゴリー1:ベースの種類 / 音源 (Bass Type / Sound Source)

どんな「楽器」でベースラインを弾いてほしいか。これでサウンドの根本的なキャラクターが決まります。

A. エレクトリック・ベース (Electric Bass)

最も一般的で、幅広いジャンルで使われるベースギター。

  • Electric Bass
    • 解説: 標準的なエレキベース。最も万能です。
  • Fretless Bass (フレットレスベース)
    • 解説: 指板にフレットがないベース。「ンモー」と歌うような、滑らかな音程変化が特徴。ジャコ・パストリアスが有名です。
  • Picked Bass (ピック弾きベース)
    • 解説: 指ではなくピックで弾く奏法。「ゴリゴリ」「ブリブリ」とした硬質でアタックの強い音。ロックやパンクで多用されます。
  • Fingerstyle Bass (指弾きベース)
    • 解説: ピックを使わず指で弾く、最も標準的な奏法。暖かく丸いサウンドです。
  • Slap Bass (スラップベース)
    • 解説: 親指で弦を叩きつける(サムピング)奏法。「バキッ!」というパーカッシブで非常にファンキーなサウンド。Red Hot Chili Peppersのフリーなどが有名。
B. アコースティック&アップライト・ベース (Acoustic & Upright Bass)

電気を使わない、胴鳴りを活かしたベース。

  • Acoustic Bass Guitar (アコースティックベース)
    • 解説: アコースティックギターのベース版。アンプラグドな音楽や、穏やかなフォークソングに。
  • Upright Bass / Double Bass (アップライトベース)
    • 解説: クラシックやジャズで使われる、巨大な木のベース。「ボーン、ボーン」という、深みと暖かみのあるオーガニックなサウンドです。
C. シンセサイザー・ベース (Synthesizer Bass)

電子的に作られたベースサウンド。現代音楽に不可欠です。

  • Synth Bass
    • 解説: シンセベースの総称。
  • Analog Synth Bass (アナログシンセベース)
    • 解説: Moogシンセサイザーに代表される、太く、暖かく、丸いサウンド。シンセポップやファンクの定番です。
  • FM Synth Bass (FMシンセベース)
    • 解説: 80年代のデジタルシンセ(YAMAHA DX7など)に特徴的な、金属的で「コンッ」というアタックの強いサウンド。
  • Sub Bass (サブベース)
    • 解説: 耳で「聴く」というより、体で「感じる」超低音。スピーカーを震わせる「ブーン」という音圧。トラップ、ヒップホップ、EDMの土台に不可欠です。
  • Acid Bass / TB-303 (アシッドベース)
    • 解説: Roland TB-303が生み出す「ウニョウニョ」「ビョンビョン」とフィルターがうねる、非常に個性的で催眠的なサウンド。アシッドハウスの象徴。
  • Wobble Bass (ワブルベース)
    • 解説: ダブステップで使われる「ウォンウォン」「ワブワブ」と周期的に音が揺れるベース。

カテゴリー2:演奏スタイル / 役割 (Playing Style / Role)

ベースラインが曲の中で「どんな仕事をするか」を指示します。

  • Simple / Root Note Bassline (シンプル/ルート弾きのベースライン)
    • 解説: コードの最も基本となる音(ルート音)を淡々と弾く、最も堅実なスタイル。曲の土台をしっかりと支えます。
  • Melodic Bassline (メロディックなベースライン)
    • 解説: まるでもう一人のボーカルのように、覚えやすく美しいメロディを奏でるベース。The Beatlesのポール・マッカートニーが得意としました。
  • Walking Bassline (ウォーキングベース)
    • 解説: ジャズの基本。「ドゥンドゥンドゥンドゥン」と、4分音符でコードとコードの間を滑らかに歩くように繋いでいくスタイル。
  • Groovy Bassline (グルーヴィーなベースライン)
    • 解説: リズムを重視し、シンコペーションを多用した、体が動くようなベース。
  • Driving Bassline (ドライヴィングなベースライン)
    • 解説: 8分音符などで休符なく弾き続け、曲に疾走感と推進力を与えるベース。ロックやパンクで多用されます。
  • Funky Bassline (ファンキーなベースライン)
    • 解説: Groovyの一種で、特に16ビートのノリやスラップ奏法を多用したスタイル。
  • Repetitive / Ostinato Bassline (反復/オスティナートのベースライン)
    • 解説: 同じ短いフレーズを何度も繰り返すスタイル。催眠的な効果を生み、ダンスミュージックの基本です。

カテゴリー3:音色 / エフェクト (Timbre / Effects)

ベースの音をどのように加工し、仕上げるかを指示します。

  • Clean Bass (クリーンなベース)
    • 解説: エフェクトのかかっていない、楽器本来の素直なサウンド。
  • Distorted / Fuzz / Overdriven Bass (歪んだ/ファズ/オーバードライブのベース)
    • 解説: 音を意図的に歪ませた、攻撃的で汚れたサウンド。ロック、メタル、インダストリアルに。
  • Warm Bass (ウォームなベース)
    • 解説: 低中音域が豊かで、暖かく心地よいサウンド。
  • Deep Bass (ディープなベース)
    • 解説: 超低域を強調した、重くパワフルなサウンド。
  • Punchy Bass (パンチのあるベース)
    • 解説: アタックが強く、音が前に飛び出してくるようなサウンド。ファンクやポップスに合います。
  • Muffled / Muted Bass (マッフル/ミュートされたベース)
    • 解説: 弦の響きを意図的に抑えた「モコモコ」「ドゥッドゥッ」という短い音。モータウンのソウルミュージックなどで聴かれます。
  • Filtered Bass (フィルターのかかったベース)
    • 解説: 特定の周波数帯をカット/ブーストするエフェクト。EDMで曲の盛り上がりを作る際、徐々にフィルターを開いていくなどの使い方をします。

実践的なプロンプトの組み合わせ例

  • 例1:60年代モータウンのソウルが作りたい
    • A groovy and melodic electric bassline, with a warm and muted sound (暖かくミュートされたサウンドの、グルーヴィーでメロディックなエレキベースライン)
  • 例2:アシッドハウスが作りたい
    • A repetitive and hypnotic Acid Bass (TB-303) line with a squelchy filter (うねるようなフィルターの、反復的で催眠的なアシッドベースライン)
  • 例3:モダンなメタルコアが作りたい
    • A driving and distorted picked bass, playing in unison with the guitar riff (ギターリフとユニゾンで演奏される、ドライヴィングで歪んだピック弾きベース)

ドラムという骨格の上に、どのような背骨を通すか。このベースラインの設計図を描く準備はできましたでしょうか。

リズムセクションの最後のピース、そして楽曲に生命の彩りを与えるパーカッションの世界を探検しましょう。

ドラムが「骨格」、ベースが「背骨」だとすれば、パーカッションは楽曲の「服装」「アクセサリー」「肌の色」です。これが加わることで、曲は特定の文化の香りを纏い、より華やかで、より人間的な表情を見せ始めます。


楽器プロンプト辞典【パーカッション編】

パーカッションのプロンプトで最も重要なのは、「どの地域の、どんな楽器を使いたいか」を明確にすることです。これが、曲の国籍や雰囲気を決定づけます。

カテゴリー1:パーカッションの役割 / 使い方 (Role / Usage)

曲の中でパーカッションにどんな仕事をさせるかを指示します。

  • Percussion
    • 解説: パーカッション全般を指す、最も一般的な言葉。
  • Rhythmic Percussion
    • 解説: ドラムやベースと一緒に、メインのリズムを補強するように演奏してほしい時に使います。
  • Accent Percussion
    • 解説: 曲の要所要所で「パン!」とアクセントを加える役割。カウベルやクラッシュシンバルなど。
  • Atmospheric Percussion
    • 解説: リズムを刻むというより、背景で鳴り続けることで特定の雰囲気(神秘的、不穏など)を作る役割。ウィンドチャイムなど。
  • Percussion Loop
    • 解説: 同じパーカッションのパターンを繰り返す、ヒップホップや電子音楽でよく使われる手法をSunoに促します。

カテゴリー2:楽器の種類と文化的背景 (Instrument Type & Cultural Origin)

これがパーカッションプロンプトの心臓部です。

A. ラテン・パーカッション (Latin Percussion)

ポピュラー音楽で最もよく使われる、陽気でリズミカルな楽器群。

  • Congas (コンガ): 「ポコポコ」という暖かく、丸みのある太鼓。
  • Bongos (ボンゴ): コンガより高く「カンカン」と軽快な音の小型太鼓。
  • Timbales (ティンバレス): 「カンカン!」と非常に甲高く、派手な金属製のドラム。
  • Shaker (シェイカー): 「シャカシャカ」と鳴る、リズムに滑らかさを加える楽器。
  • Cowbell (カウベル): 「カン!」という、非常に抜けの良い金属音。ファンクやロックでも多用されます。
  • Guiro (ギロ): ひょうたんを棒でこする「ギコギコ」というユニークな音。
  • Claves (クラベス): 2本の木片を打ち合わせる「コンコン」という硬質な音。ラテンリズムの核です。
  • Cajon (カホン): ペルー発祥の箱型楽器。叩く場所によってバスドラムやスネアのような音が出せ、ストリートライブなどでドラムの代わりも務めます。
B. アフリカン・パーカッション (African Percussion)

大地を感じさせる、パワフルで複雑なリズムが特徴。

  • Djembe (ジャンベ): 西アフリカを代表する太鼓。低音から高音まで多彩な音が出せます。
  • Talking Drum (トーキングドラム): 脇に挟み、革紐の締め具合で音程を変化させられる太鼓。文字通り「語る」ような演奏が可能です。
  • Kalimba / Mbira (カリンバ / ムビラ): 「親指ピアノ」とも呼ばれる、金属のキーを指で弾く楽器。「ポロロン」という幻想的で美しい音色です。
C. ブラジリアン・パーカッション (Brazilian Percussion)

サンバやボサノヴァなど、ブラジル音楽の情熱的なリズムを形成します。

  • Surdo (スルド): サンバの心臓部となる、低く響く大太鼓。
  • Pandeiro (パンデイロ): タンバリンに似ていますが、より複雑な演奏が可能な、ブラジルの万能打楽器。
D. オーケストラル / シネマティック・パーカッション (Orchestral / Cinematic Percussion)

映画音楽やクラシック音楽で、壮大さや緊張感を演出します。

  • Timpani (ティンパニ): 「ドロロロ…」というロール奏法や「ダン!」という一撃で、ドラマチックな効果を生む大太鼓。
  • Glockenspiel (グロッケンシュピール): キラキラと輝くような高音の鉄琴。ファンタジーな雰囲気に。
  • Xylophone (シロフォン): 「ポコポコ」と乾いた木の音の木琴。
  • Triangle (トライアングル): 「チーン」という非常に高く澄んだ音。
  • Tambourine (タンバリン): 「シャンシャン」と華やかさを加えます。
  • Chimes / Tubular Bells (チャイム / チューブラーベル): 教会の鐘のような、荘厳な音。
E. エレクトロニック&その他 (Electronic & Miscellaneous)

現代のポップスやヒップホップで頻繁に使われます。

  • Hand Claps (ハンドクラップ): 手拍子。
  • Finger Snaps (フィンガースナップ): 指パッチン。
  • 808 Percussion (808パーカッション): TR-808に入っている、カウベルやクラップなどの電子的なパーカッションサウンド。
  • Found Sounds (ファウンドサウンド): 環境音や日用品の音(鍵の束、ドアの開閉音、水の音など)をサンプリングして、パーカッションとして使う手法。ローファイ・ヒップホップやIDMで多用されます。

【追加】音程のある打楽器 (Pitched Percussion / Mallet Percussion)

これらはすべて、ピアノと同じようにメロディやハーモニーを奏でることができる打楽器です。

  • Xylophone (シロフォン / 木琴)
    • 音色: 「ポコポコ」「カラカラ」とした、硬質で乾いた、よく通る木の音。
    • 役割: 明るく、コミカルで、遊び心のあるメロディ。
  • Glockenspiel (グロッケンシュピール / 鉄琴)
    • 音色: 「キラキラ」「チリンチリン」とした、非常に高く、輝きのある金属音。
    • 役割: 魔法のような、夢のような、ファンタジックな雰囲気を加える。
  • 【新】Marimba (マリンバ)
    • 音色: シロフォンと同じ木製ですが、共鳴管があるため「コローン」「ポロポロ」と、暖かく、豊かで、よく響くのが特徴です。シロフォンよりも柔らかく、深みのある音。
    • 役割: 優しく、オーガニックで、心地よいメロディやアルペジオ。民族音楽的な雰囲気や、静かな感動を表現するのに最適です。
    • Sunoプロンプト例: A gentle and warm marimba melody
  • 【新】Vibraphone (ヴィブラフォン)
    • 音色: グロッケンシュピールと同じ金属製ですが、サステイン(音の伸び)をコントロールするペダルと、音を揺らすためのモーター(ヴィブラート)が付いています。「キラーン」「フワーン」と、美しく、長く響き、揺らめくのが特徴です。
    • 役割: ジャズの主役の一人。都会的で、クールで、少しミステリアスな雰囲気を醸し出します。ドリーミーなサウンドは映画音楽にも多用されます。
    • Sunoプロンプト例: A dreamy vibraphone solo in a jazz trio
  • Timpani (ティンパニ)
    • 音色: 皮を張った巨大な釜型の太鼓。「ドーン」「ゴゴゴ…」と、重低音で、荘厳な響きが特徴。ペダルで正確な音程に変えることができます。
    • 役割: 打楽器ですが、その役割はリズムよりもハーモニーの強調に近いです。オーケストラや映画音楽で、曲の最も重要な瞬間に、その場のコードのルート音などを鳴らすことで、圧倒的な迫力とドラマ性を加えます。
    • Sunoプロンプト例: Dramatic timpani rolls building tension (緊張感を高める、ドラマチックなティンパニのロール)

まとめ

  • 木の仲間:
    • 硬くて乾いた音 → シロフォン
    • 暖かくて響く音 → マリンバ
  • 金属の仲間:
    • 高くて輝く音 → グロッケンシュピール
    • 伸びて揺れる音 → ヴィブラフォン

リズムセクション完成!

おめでとうございます! これであなたは、

  • 骨格であるドラムを設計し、
  • 背骨となるベースを通し、
  • 装飾となるパーカッションで彩る
    という、楽曲の土台となる「リズムセクション」を完全にプロデュースするための知識を手に入れました。

プロンプト例:
A groovy rhythm section with a dry 70s acoustic drum kit, a funky fingerstyle electric bassline, and rhythmic conga percussion.
(ドライな70年代のアコースティックドラム、ファンキーな指弾きエレキベースライン、そしてリズミカルなコンガのパーカッションによる、グルーヴィーなリズムセクション)


B. メロディと主役を担うパート (Melodic & Lead Elements)

メロディとは何か? (What is Melody?)

一言で言うならば、メロディとは「楽曲の主役であり、物語を語る主人公」です。

あなたが曲を聴き終わった後に、鼻歌で口ずさむ部分。歌詞が乗っている、声の動き。それがメロディです。リズムセクションが整地された「舞台」だとすれば、メロディはその上で歌い、踊り、感情を表現する「俳優」と言えます。

もう少し技術的に、しかし分かりやすく定義すると、メロディとは「異なる高さ(音高)と長さ(リズム)を持つ音が、聴く人にとって一つのまとまりとして感じられるように、時間軸に沿って並べられたもの」です。

この定義を、3つの重要な要素に分解してみましょう。

メロディの3大要素

  1. ピッチ (Pitch / 音の高さ)
    • 解説: メロディの「上下の動き」です。音が上がったり、下がったりすること。この動きが、メロディの輪郭(Contour)を作り、感情を直接的に表現します。
    • イメージ:
      • 音が上がっていくメロディ → 高揚感、喜び、期待、緊張
      • 音が下がっていくメロディ → 落ち着き、悲しみ、安らぎ、終息
    • メロディは、この音の階段をリズミカルに上り下りする旅のようなものです。
  2. リズム (Rhythm / 音の長さとタイミング)
    • 解説: メロディを構成する一つ一つの音が、どれくらいの長さで、どのタイミングで鳴らされるか。これがメロディの「性格」や「話し方」を決定づけます。
    • 重要ポイント: 全く同じ音の高さの並びでも、リズムが違えば全く違うメロディになります。
    • 例: 「きらきら星」のメロディ(ドッドッ ソッソッ ラッラッ ソー)を、いつものゆったりしたリズムではなく、倍速のせわしないリズムで歌ったら、全く違う曲に聞こえるはずです。リズムは、メロディに命を吹き込む鼓動なのです。
  3. 輪郭 (Contour / 形)
    • 解説: ピッチとリズムが合わさって生まれる、メロディ全体の「形」や「流れ」のことです。滑らかな波のような形か、ギザギザの山のような形か。この輪郭が、メロディの「覚えやすさ(キャッチーさ)」に直結します。
    • 良いメロディの条件: 良いメロディは、多くの場合、一つのクライマックス(最も高い音や、最も感情的な部分)を持ち、そこに向かって上り、そして下っていくという、美しい山の形に似た輪郭を持っています。

メロディと他の要素との関係

  • メロディ vs. ハーモニー (和音):
    • あなたが歌う主旋律がメロディです。
    • その後ろでギターやピアノが鳴らしている「ジャーン」という響き(コード)がハーモニーです。
    • メロディは「線」、ハーモニーは「面」と考えると分かりやすいでしょう。ハーモニーという美しい背景画の上を、メロディという主人公が旅をするのです。
  • メロディ vs. リズムセクション:
    • リズムセクション(ドラム、ベース)が提供する安定した「地面」と「道」の上を、メロディという「旅人」が歩いていきます。
    • 地面がしっかりしていなければ旅人はうまく歩けませんし、旅人がいなければ、ただ道が続くだけの退屈な風景になってしまいます。

結論として、メロディとは単なる音の羅列ではありません。
それは、リスナーの心に直接語りかけ、感情を揺さぶり、記憶に残るための、意図を持ってデザインされた「音の物語」なのです。

楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 役割編】

メロディパートの役割は、大きく分けて2つの階層で考えることができます。

第一階層:主旋律 – 曲の「主人公」

楽曲の中心で物語を語り、リスナーが最も記憶する部分です。ボーカルがいないインストゥルメンタル曲では、このパートがボーカルの代わりを務めます。

  • Lead [Instrument] (リード[楽器名])
    • 解説: 「主旋律を演奏する楽器」を指定する、最も直接的で強力なプロンプトです。Lead Guitar, Lead Synth, Lead Piano, Lead Saxophone のように、[楽器名]を入れ替えて使います。Sunoに対して「この楽器を主役にしてくれ」という明確な意思表示になります。
    • 位置付け: 主役を指名する、最も基本的な言葉。
    • Sunoプロンプト例: A soaring lead electric guitar melody (舞い上がるようなリードエレキギターのメロディ)
  • Melody / Main Melody (メロディ / 主旋律)
    • 解説: Leadとほぼ同義ですが、より「楽器」というよりは「旋律そのもの」に焦点を当てた言葉です。「美しいメロディが欲しい」という、より純粋なリクエストに使います。
    • 位置付け: 楽器を指定せず、旋律の存在そのものを要求する言葉。
    • Sunoプロンプト例: A beautiful and simple piano melody (美しくシンプルなピアノのメロディ)

第二階層:印象的なフレーズ – 曲の「決めゼリフ」や「小道具」

主旋律とは別に、何度も繰り返されたり、曲の特定の場面で登場したりして、リスナーに強い印象を残す短いフレーズです。これらは主役ではありませんが、物語を非常に面白くする重要な脇役たちです。

  • Riff (リフ)
    • 解説: 主にギターやベースで、何度も繰り返される、キャッチーで短いフレーズのこと。特にエレキギターのリフはロックの魂であり、曲の象徴となります。The Rolling Stonesの “(I Can’t Get No) Satisfaction” のイントロが最も有名な例です。
    • 位置付け: 曲のアイデンティティを定義する、反復される決めゼリフ。
    • Sunoプロンプト例: An iconic and heavy electric guitar riff (象徴的でヘヴィなエレキギターリフ)
  • Hook (フック)
    • 解説: リフと似ていますが、より広く「リスナーの耳に引っかかる(フックする)部分」全般を指します。ギターリフであることも、シンセのフレーズであることも、キャッチーなベースラインであることもあります。曲の中で最も商業的に重要な部分です。
    • 位置付け: とにかくキャッチーで耳に残る部分全般を指す、リフより広い概念。
    • Sunoプロンプト例: A catchy synth hook in the chorus (サビのキャッチーなシンセフック)
  • Solo (ソロ)
    • 解説: 楽曲の途中で、ある一つの楽器が主役となって、技巧を凝らした即興的な演奏を披露する見せ場です。Guitar solo, Saxophone solo, Piano solo など。物語のクライマックスで主人公が見せる、圧巻のアクションシーンのようなものです。
    • 位置付け: 楽曲中盤の見せ場、技巧の見せ所。
    • Sunoプロンプト例: An emotional and epic guitar solo (感情的で壮大なギターソロ)
  • Fill / Lick (フィル / リック)
    • 解説: フレーズとフレーズの隙間を埋める、短い装飾的なフレーズDrum Fillが最も有名ですが、ギターやピアノもフィルを演奏します。リックは、特にブルースやロックのギタリストが使う、手癖のような短い決めフレーズを指すことが多いです。
    • 位置付け: 会話の相槌や、文の句読点のような、短い繋ぎのフレーズ。
    • Sunoプロンプト例: Short bluesy guitar licks between vocal phrases (ボーカルフレーズの間の、短いブルージーなギターリック)

階層構造のまとめ

  • 主人公(常に物語の中心にいる)
    • Lead [Instrument]
    • Melody
  • 重要な脇役(特定の場面で強い印象を残す)
    • Riff (反復する決めゼリフ)
    • Hook (とにかくキャッチーな要素)
    • Solo (中盤のクライマックス)
    • Fill / Lick (繋ぎの言葉)

この役割分担を理解することで、あなたはSunoに対して、ただ漠然と楽器の音を要求するのではなく、「イントロで象徴的なギターリフを弾かせ、Aメロではピアノにリードメロディを奏でさせ、間奏ではサックスに情熱的なソロを吹かせる」といった、まるで映画監督のように、楽曲のストーリーを演出することができるようになります。

ボーカル曲における「Lead [Instrument]」の役割

ボーカルという絶対的な主役がいる舞台で、あえて他の楽器に Lead の役割を与えると、どういう関係性が生まれるのか。これにはいくつかの美しいパターンが存在します。

パターン1:カウンター・メロディ (Counter Melody) – 「もう一人の主人公」

  • アレンジ手法: ボーカルが歌う主旋律(メインメロディ)の隙間を縫うように、あるいは主旋律と同時に、別の楽器がもう一つの独立した美しいメロディを奏でます。これを「カウンター・メロディ」または「オブリガート」と呼びます。
  • 役割: ボーカルと楽器が、まるでデュエットのように対等に歌い合う、非常にリッチで感動的なアレンジです。
  • プロンプト例:
    • A beautiful lead piano playing a counter-melody to the female vocals
    • (女性ボーカルに対して、カウンターメ-ロディを奏でる美しいリードピアノ)
  • 聴こえ方: ボーカルが「♪〜〜〜(一休み)」と息継ぎする間に、ピアノが「♪〜〜〜」と美しいお返事を返すようなイメージです。

パターン2:ユニゾン / ダブリング (Unison / Doubling) – 「主人公の影武者」

  • アレンジ手法: ある楽器が、ボーカルと全く同じメロディを、全く同じタイミングで演奏します。
  • 役割: 主旋律を補強し、強調するためのテクニックです。ボーカルのメロディに楽器の音色が加わることで、サウンドがより力強く、分厚くなります。
  • プロンプト例:
    • A distorted lead guitar playing in unison with the powerful male vocals
    • (パワフルな男性ボーカルとユニゾンで演奏される、歪んだリードギター)
  • 聴こえ方: ロックのサビなどで、ボーカルの歌声の後ろに、全く同じ動きをするギターの音が重なって聴こえる、あのアレンジです。

パターン3:インストゥルメンタル・セクションの主役 – 「間奏の主人公」

  • アレンジ手法: 歌のないパート、つまりイントロ、間奏、アウトロで、その楽器が主役のメロディを演奏します。
  • 役割: ボーカルが休んでいる間に、物語の場面転換や情景描写を行う役割です。
  • プロンプト例:
    • A J-Pop song with a catchy lead synth in the intro and instrumental breaks
    • (イントロと間奏でキャッチーなリードシンセが鳴るJ-POP)
  • 聴こえ方: YOASOBIの曲のイントロで鳴り響く、あの印象的なピアノやシンセのリフを想像してください。あれがまさにこのパターンです。

結論:Sunoへの指示の出し方

  • 単純に Lead Piano とだけ指定すると…
    • Sunoは混乱する可能性があります。「ボーカルが主役のはずなのに、ピアノも主役にしろと? どうしよう…」となり、ボーカルとピアノがメロディの取り合いをして、ごちゃごちゃした曲になるかもしれません。
  • プロフェッショナルな指示の出し方:
    • 「どの場面で」「ボーカルとどういう関係性で」主役を張ってほしいのかを、より具体的に伝えることが重要です。
    • カウンター・メロディが欲しい場合: playing a counter-melody という魔法の言葉を付け加える。
    • ユニゾンさせたい場合: playing in unison with the vocals と付け加える。
    • 間奏の主役が欲しい場合: in the instrumental sectionin the intro と、場面を限定する。

【2. 楽器の種類 (Instrument Type)】について、各楽器の個性、得意な役柄、そしてSunoへの具体的な「オファーの出し方(プロンプト例)」まで含めて、網羅的に解説します。これはあなたの「主役俳優名鑑」となります。


楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 楽器の種類編】

A. 鍵盤楽器 (Keyboard Instruments)

楽曲のハーモニーとメロディの両方を支配できる、万能な主役たち。

  • Grand Piano (グランドピアノ)
    • 個性: 広く豊かなダイナミクス(強弱)と、きらびやかな響きを持つ「鍵盤の王様」。
    • 得意な役柄: 感動的なバラードの主役、クラシックの荘厳なメロディ、J-POPの疾走感あふれるリフ。
    • Sunoプロンプト例: An emotional and soaring lead melody played on a grand piano
  • Upright Piano (アップライトピアノ)
    • 個性: グランドピアノより少しコンパクトで、暖かく、どこか懐かしい響き。少しだけ調律がずれたような(detuned)人間味を表現するのも得意。
    • 得意な役柄: 心地よいカフェで流れるようなBGM、ノスタルジックな映画のテーマ、インディーポップの素朴なメロディ。
    • Sunoプロンプト例: A nostalgic and gentle melody played on an old upright piano
  • Electric Piano / Rhodes Piano (エレクトリックピアノ / ローズピアノ)
    • 個性: 「コロンコロン」という、金属的でありながら暖かく、甘いベルのようなトーン。70年代のソウルやフュージョンを象徴するサウンド。
    • 得意な役柄: 夜の都会に似合うムーディーなソロ、Lo-fiヒップホップのチルなメロディ、おしゃれなR&Bのコードリフ。
    • Sunoプロンプト例: A smooth and soulful Rhodes electric piano solo
  • Organ (オルガン)
    • 個性: 持続音が特徴。Hammond Organならブルージーで唸るようなロックサウンド、Church Pipe Organなら荘厳で神聖、あるいはホラーな響き。
    • 得意な役柄: 60-70年代ロックのワイルドなリフ(ハモンド)、ゴスペルの魂の叫び、ゴシックホラー映画のテーマ(パイプオルガン)。
    • Sunoプロンプト例: A gritty and soulful Hammond organ lead riff
  • Accordion (アコーディオン)
    • 個性: 蛇腹で空気を送り込むことで鳴る、哀愁と暖かみを帯びた「呼吸する」サウンド。
    • 得意な役柄: パリの街角で流れるシャンソン、情熱的なタンゴ、陽気なポルカ。
    • Sunoプロンプト例: A passionate and melancholic accordion melody

B. ギター (Guitars)

ポピュラー音楽における、もう一人の絶対的な主役。

  • Acoustic Guitar (アコースティックギター)
    • 個性: Steel-string(鉄弦)なら明るくキラキラしたフォークサウンド、Nylon-string(ナイロン弦)なら柔らかく暖かなクラシックやボサノヴァサウンド。
    • 得意な役柄: シンガーソングライターの弾き語りのメロディ(鉄弦)、哀愁漂うラテン音楽のソロ(ナイロン弦)。
    • Sunoプロンプト例: A bright fingerpicked melody on a steel-string acoustic guitar
  • Electric Guitar (エレキギター)
    • 個性: アンプやエフェクターとの組み合わせで、最も表現の幅が広い楽器。Clean(クリーン)な音からDistorted(歪んだ)音まで自由自在。
    • 得意な役柄: ロックアンセムにおける魂のギターソロ、ファンクのカッティングリフ、ジャズの滑らかなメロディ。
    • Sunoプロンプト例: A screaming and emotional distorted electric guitar solo

C. 弦楽器 (String Instruments)

感情の機微を表現する達人たち。

  • Violin / Fiddle (ヴァイオリン / フィドル)
    • 個性: 最も人間の声に近いと言われる、表現力豊かな高音域の弦楽器。クラシックならヴァイオリン、カントリーやフォークならフィドルと呼ばれる。
    • 得意な役柄: 壮大な映画音楽の泣きのメロディ、陽気なカントリーのダンスチューン。
    • Sunoプロンプト例: A heartbreaking and soaring violin lead melody
  • Cello (チェロ)
    • 個性: ヴァイオリンより低く、深く、暖かみのある音色。人間の男性の声域に近く、落ち着きと情熱を併せ持つ。
    • 得意な役柄: 物憂げで美しいバラードの主旋律、感動的なシーンを支える対旋律(カウンターメロディ)。
    • Sunoプロンプト例: A deep and melancholic cello solo
  • String Section / Orchestra (ストリングスセクション / オーケストラ)
    • 個性: 多数のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが一体となって奏でる、豪華で壮大なサウンド。
    • 得意な役柄: 映画のオープニングを飾る壮大なテーマ、ポップスのサビを最高潮に盛り上げる背景のメロディ。
    • Sunoプロンプト例: A lush and epic orchestral string section playing the main theme

D. 管楽器 (Wind Instruments)

人間の「息づかい」を感じさせる、生命力あふれる楽器群。

  • Saxophone (サックス)
    • 個性: ジャズやポップスにおける「セクシーな主役」。Tenor Saxは太くむせび泣くような音、Alto Saxはより華やかで歌うような音。
    • 得意な役柄: AORやシティポップの間奏で聴かせるムーディーなソロ、ロックンロールのワイルドなリフ。
    • Sunoプロンプト例: A soulful and bluesy tenor saxophone solo
  • Trumpet (トランペット)
    • 個性: 華やかで、輝かしく、力強い高音。ファンファーレの主役。
    • 得意な役柄: スカやラテン音楽の陽気なメロディ、ジャズの超絶技巧ソロ、王の登場を告げるファンファーレ。
    • Sunoプロンプト例: A bright and majestic trumpet lead melody
  • Flute (フルート)
    • 個性: 澄んだ空気のような、軽やかで美しい音色。
    • 得意な役柄: ファンタジー映画の神秘的なテーマ、ボサノヴァの涼しげなメロディ。
    • Sunoプロンプト例: A light and ethereal flute melody

E. 電子楽器 (Electronic Instruments)

未来のサウンド、あるいはレトロなゲームの世界を描く。

  • Synth Lead (シンセリード)
    • 個性: 最も自由な音作りが可能。Analog Synthなら太く暖かい70-80年代風、Digital Synthなら硬質でキラキラした80-90年代風、Wavetable Synthなら複雑に変化する現代的なサウンド。
    • 得意な役柄: EDMの派手なドロップメロディ、シンセポップのキャッチーなリフ、SF映画のテーマ。
    • Sunoプロンプト例: A fat Moog-style analog synth lead with a funky vibe
  • Chiptune / 8-bit Lead (チップチューン / 8ビットリード)
    • 個性: ファミコンなどの初期ゲーム機が奏でた「ピコピコ」サウンド。
    • 得意な役柄: レトロゲームのBGM、現代の楽曲におけるノスタルジックなアクセント。
    • Sunoプロンプト例: A nostalgic 8-bit chiptune melody

F. 民族楽器 & その他 (World Instruments & Others)

楽曲に特定の「国籍」や「文化」の香りを加える。

  • Sitar (シタール): インド。倍音豊かな「ビヨーン」という神秘的な音。
  • Shamisen (三味線): 日本。鋭いアタックを持つ、情熱的でパーカッシブな音。
  • Erhu (二胡): 中国。人間の泣き声に似た、非常にエモーショナルな音。
  • Bagpipes (バグパイプ): スコットランド。ドローン(持続音)を伴う、勇壮で力強い音。

シンセリード・サウンドキャラクター辞典(先行解説)

あなたの素晴らしい質問に応える形で、本来は後のカテゴリーでバラバラに解説する予定だった知識をここに統合し、「シンセリードのサウンドキャラクター(流派)」として先行解説します。これはドラムマシンの時と同じアプローチです。

流派1:アナログ・ヴィンテージ (Analog Vintage) 系

解説: 70年代〜80年代初頭の、電気回路で音を作るアナログシンセサイザーのサウンド。太く、暖かく、少し不安定なところが魅力です。

  • キーワード: Analog Synth Lead, Moog-style Lead, Vintage Synth
  • 音のイメージ: 「ファット(Fat)」で「ウォーム(Warm)」。フィルターを閉じた「モー」という丸い音から、開いた「ミャー」という鋭い音まで変化します。
  • 得意なジャンル: 70s Funk, Progressive Rock, 80s Synth-pop
  • Sunoプロンプト例: A fat and funky analog synth lead riff

流派2:80sデジタル・クリスタル (80s Digital Crystal) 系

解説: 80年代中盤から流行した、FM音源などに代表されるデジタルシンセサイザーのサウンド。硬質で、金属的で、キラキラした響きが特徴です。

  • キーワード: Digital Synth Lead, FM Synth Lead, DX7-style Lead, 80s Pop Synth
  • 音のイメージ: 「ブライト(Bright)」で「クリスピー(Crispy)」。ベルやエレクトリックピアノに似た、アタックの強いサウンドが得意。
  • 得意なジャンル: 80s Pop (特にバラード), City Pop, Synthwave
  • Sunoプロンプト例: A bright and crystalline 80s digital synth melody

流派3:トランス・スーパーソウ (Trance Supersaw) 系

解説: 90年代のトランスミュージックで生まれ、現代のEDMにも受け継がれる、非常に分厚く、壮大で、高揚感のあるシンセサウンド。複数のノコギリ波(Sawtooth wave)を少しだけズラして重ねることで、この独特の厚みが生まれます。

  • キーワード: Supersaw Lead, Trance Lead, EDM Lead, Anthem Synth
  • 音のイメージ: 「ラッシュ(Lush)」で「エピック(Epic)」。巨大な光の洪水のようなサウンド。
  • 得意なジャンル: Trance, EDM, Hardcore Techno
  • Sunoプロンプト例: An epic and soaring supersaw lead for an EDM drop

流派4:アシッド・スクウェルチ (Acid Squelch) 系

解説: Roland TB-303が生み出す、唯一無二のサウンド。フィルターのレゾナンスを上げた状態でカットオフを動かすことで生まれる、「ウニョウニョ」「ビョンビョン」という非常に個性的で催眠的なサウンドです。

  • キーワード: Acid Synth Lead, TB-303 style, Squelchy Lead
  • 音のイメージ: 「アシッディー(Acidy)」で「レゾナント(Resonant)」。うねるような、叫ぶようなサウンド。
  • 得意なジャンル: Acid House, Acid Techno
  • Sunoプロンプト例: A hypnotic and squelchy acid synth lead

流派5:チップチューン / 8ビット (Chiptune / 8-bit) 系

解説: ファミコンなどの初期ゲーム機の音源チップが奏でた、矩形波(Square wave)や三角波(Triangle wave)をベースにした「ピコピコ」サウンド。

  • キーワード: Chiptune Lead, 8-bit Synth, Square Wave Lead
  • 音のイメージ: 「ノスタルジック(Nostalgic)」で「チープ(Cheap)」。制限された音源ならではの、独特の哀愁があります。
  • 得意なジャンル: Chiptune, Lo-fi, Hyperpopのアクセント
  • Sunoプロンプト例: A nostalgic 8-bit chiptune melody

流派6:モダン・プラック (Modern Pluck) 系

解説: 現代のポップスやダンスミュージックで多用される、アタックが強く、すぐに音が減衰する「ポッ」「コンッ」という短いシンセサウンド。リバーブやディレイと組み合わせることで、リズミカルで空間的なメロディを作ります。

  • キーワード: Pluck Synth, Synth Plucks, Short Decaying Synth
  • 音のイメージ: 「パーカッシブ(Percussive)」で「リズミカル(Rhythmical)」。撥弦楽器(Plucked String)のような質感。
  • 得意なジャンル: Future Bass, Tropical House, Modern Pop
  • Sunoプロンプト例: A catchy pluck synth melody with a lot of reverb and delay

それでは、【1. 役割 (Role)】第二階層に焦点を当て、それぞれの役割に対してどのような「演技指導」が可能か、プロンプト例を網羅的に解説します。


第二階層:印象的なフレーズ / プロンプト辞典

Riff (リフ) – 曲の「決めゼリフ」

基本形: [楽器名] riff (例: Electric guitar riff)

  • 性格・感情で指示する:
    • An iconic riff: 誰もが知るような、象徴的なリフ。
    • A heavy riff: 重々しく、パワフルなリフ (メタル、ハードロック)。
    • A groovy riff: 体が動くような、ノリの良いリフ (ファンク、ソウル)。
    • A funky riff: groovyより更に16ビートの「跳ね」を強調したリフ。
    • A catchy riff: とにかく耳に残りやすく、覚えやすいリフ (ポップス)。
    • A repetitive riff: 何度も何度も繰り返される、催眠的なリフ (ダンスミュージック、ポストロック)。
    • A driving riff: 前へ前へと進む、推進力のあるリフ (パンクロック)。
    • A melodic riff: 歌うような、メロディに近いリフ。
    • An angular riff: 予測不能な動きをする、角張ったリフ (ポストパンク、マスロック)。
  • 演奏法・音色で指示する:
    • A distorted guitar riff: 歪んだギターリフ。
    • A clean guitar riff: クリーンな音のギターリフ。
    • A fuzzed-out bass riff: ファズ(エフェクター)で激しく歪んだベースリフ。
    • A simple synth riff: シンプルなシンセサイザーのリフ。
    • A monophonic synth riff: 単音で演奏されるシンセリフ (初期のシンセサイザー風)。

Hook (フック) – 曲の「ロゴマーク」

基本形: [楽器名] hook (例: Synth hook)
HookRiffよりも広い概念なので、修飾語はRiffと共通するものが多いです。

  • 役割・性格で指示する:
    • An infectious hook: 一度聴いたら伝染するかのように頭から離れないフック。
    • An unforgettable hook: 忘れられない、強烈な印象を残すフック。
    • A simple and catchy hook: シンプルでキャッチーなフック (ヒット曲の王道)。
    • An instrumental hook: 楽器によるフック。
    • A vocal hook: ボーカルによるフック (歌詞そのものや、意味のないスキャットなど)。
    • A massive synth hook: 巨大で、空間を埋め尽くすようなシンセのフック (EDM)。

Solo (ソロ) – 曲の「クライマックス」

基本形: [楽器名] solo (例: Guitar solo)

  • 感情表現で指示する:
    • An emotional solo: 感情的な、心を揺さぶるソロ。
    • A passionate solo: 情熱的なソロ。
    • A soaring solo: 空を舞い上がるような、高揚感のあるソロ。
    • A screaming solo: 叫ぶような、激しいソロ (ハードロック、メタル)。
    • A crying / weeping solo: 泣いているかのような、むせび泣くソロ (ブルース)。
    • A melancholic solo: 物憂げで、悲しげなソロ (バラード)。
    • A beautiful solo: とにかく美しいソロ。
    • A wild / chaotic solo: 野生的で、混沌としたソロ (フリージャズ、ノイズロック)。
    • A playful solo: 遊び心のある、楽しげなソロ。
  • 技術・スタイルで指示する:
    • A melodic solo: 技巧よりも、美しいメロディラインを重視したソロ。
    • A technical / virtuosic solo: 超絶技巧の、技巧的なソロ。
    • A fast solo / A shred solo: とにかく速い、シュレッダーのように細かく弾きまくるソロ (メタル)。
    • A slow solo: ゆっくりと、一音一音を大切に弾くソロ (ブルース、バラード)。
    • An improvised solo: 即興演奏のようなソロ (ジャズ)。
    • A bluesy solo: ブルース特有の音階やフィーリングを持つソロ。
    • A jazzy solo: ジャズのフィーリングを持つソロ。

Fill & Lick (フィル & リック) – 「繋ぎの言葉」

基本形: [楽器名] fill / [楽器名] lick

  • 役割・タイミングで指示する:
    • Short guitar fills: 短いギターのフィル(おかず)。
    • Bluesy guitar licks between vocal phrases: ボーカルの合間に入る、ブルージーなギターリック。
    • Funky horn fills: ファンキーなホーンセクションのフィル。
    • Tasteful piano fills: センスの良い、控えめなピアノのフィル。

これらの修飾語を組み合わせることで、あなたの頭の中にある漠然としたイメージを、Sunoが理解できる具体的な指示へと変換することができます。

悪い例: Guitar solo (どんなソロが欲しいか全く不明)
良い例: A slow, emotional, and melodic bluesy guitar solo (ゆっくりで、感情的で、メロディアスな、ブルース風のギターソロ)

【1. 役割 (Role)】の応用編として、プロフェッショナルなアレンジャーが使う、さらに高度なテクニックをいくつか紹介しましょう。


役割の応用編:アンサンブル・テクニック辞典

1. ハーモニー / ハモり (Harmony / Harmonized)

  • テクニック解説:
    主旋律(リードメロディ)に対して、異なる音程で、同じリズムのメロディを重ねるテクニックです。ユニゾンが「1人」で歌うのを「2人」で歌う補強だとすれば、ハーモニーは主旋律に対して「ハモりパート」を追加する、より音楽的な補強です。最も一般的なのは、主旋律の3度上または3度下の音を重ねることです。
  • 効果: メロディに厚みと豊かな響きが加わり、非常に心地よく、感動的に聞こえます。
  • 代表的な例:
    • ボーカル: Simon & GarfunkelやQueenに代表される、美しいボーカルハーモニー。
    • ギター: The Allman Brothers BandやIron Maidenに代表されるツインギターソロ。2本のギターが美しいハーモニーを奏でながら、同じメロディを弾きます。
  • Sunoへのプロンプト例:
    • A harmonized lead guitar solo, in the style of Thin Lizzy
    • (Thin Lizzy風の、ハモっているリードギターソロ)
    • A beautiful male vocal harmony
    • (美しい男性ボーカルのハーモニー)

2. コール・アンド・レスポンス (Call and Response)

  • テクニック解説:
    文字通り「呼びかけと応答」です。あるパート(Call)が短いフレーズを演奏し、それに応えるように別のパート(Response)がフレーズを返します。あたかも、楽器同士や、ボーカルと楽器が会話しているかのように聞こえます。
  • 効果: 楽曲に対話のような、生き生きとした掛け合いが生まれます。リスナーは次にどんな「応答」が返ってくるのかと、自然に音楽に引き込まれます。
  • 代表的な例:
    • ブルース/ゴスペル: B.B. Kingが歌った後に、彼のギター「ルシール」がむせび泣くように応えるのは、この典型です。
    • ファンク: James Brownが「Get up!」と叫び、それに対してホーンセクションが「パッパー!」と応える、あのアレンジです。
    • ポップス: サビでメインボーカルが歌ったフレーズを、バックコーラスが繰り返す(追いかける)のも、コール・アンド・レスポンスの一種です。
  • Sunoへのプロンプト例:
    • A call and response between the male vocals and a funky brass section
    • (男性ボーカルとファンキーなブラスセクションによるコール・アンド・レスポンス)
    • A blues song featuring call and response between the singer and his electric guitar
    • (シンガーと彼のEギターのコール・アンド・レスポンスをフィーチャーしたブルース)

3. オスティナート (Ostinato)

  • テクニック解説:
    短いメロディやリズムのパターンを、執拗に何度も何度も繰り返すことです。ベースラインの解説で Repetitive / Ostinato Bassline として少し触れましたが、これはメロディパートにも応用できます。
  • 効果: 楽曲に催眠的な効果と、強固な一体感を生み出します。その反復の上に他のメロディが乗ることで、静的な土台と動的な主役という美しい対比が生まれます。
  • 代表的な例:
    • クラシック: ラヴェルの「ボレロ」。同じリズムパターンとメロディが、楽器を変えながら延々と繰り返され、壮大なクライマックスへと向かっていきます。
    • ミニマル・ミュージック: Steve ReichやPhilip Glassといった作曲家が、この手法を芸術の域まで高めました。
    • ポップス: Daft Punkの “Around the World”。曲の大部分で、シンセベースとボコーダーが「Around the World」というオスティナートをひたすら繰り返します。
  • Sunoへのプロンプト例:
    • A simple, repetitive piano ostinato that continues throughout the song
    • (曲を通してずっと続く、シンプルで反復的なピアノのオスティナート)
    • A hypnotic synth arpeggio ostinato
    • (催眠的なシンセアルペジオのオスティナート)

まとめ

  • ユニゾン: 複数のパートが同じ音を演奏する(補強)。
  • ハーモニー: 複数のパートが違う音(ハモり)で同じリズムを演奏する(彩り)。
  • カウンターメロディ: 複数のパートが違う音で違うリズムを演奏する(対話)。
  • コール・アンド・レスポンス: パート同士が交互に演奏する(会話)。
  • オスティナート: あるパートが同じフレーズを執拗に繰り返す(土台/催眠)。

役割(仕事)を決め、俳優(楽器)をキャスティングしました。次はいよいよ、その俳優に渡す「脚本」、つまり【3. メロディの性格・輪郭 (Melody Character & Contour)】の書き方を学びましょう。

ここをマスターすれば、あなたはSunoに対して、単に「メロディを弾いて」と指示するのではなく、「情熱的で、空を舞い上がるようなメロディを」というように、感情そのものをディレクションできるようになります。


楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 3. メロディの性格・輪郭編】

メロディの「脚本」は、大きく分けて3つの要素で構成されます。

A. 感情と雰囲気 (Emotion & Atmosphere) – メロディの「心」

そのメロディが纏うべき感情や、醸し出す雰囲気を直接的に指示します。

  • ポジティブな感情:
    • Happy: 幸せな
    • Joyful: 喜びに満ちた
    • Playful: 遊び心のある
    • Uplifting: 気分が高揚するような
    • Hopeful: 希望に満ちた
  • ネガティブな感情:
    • Sad: 悲しい
    • Melancholic: 物憂げな、切ない
    • Sorrowful: 深い悲しみに満ちた
    • Mournful: 嘆き悲しむような
    • Dark: 暗い、不穏な
  • 強さと情熱:
    • Emotional: 感情的な
    • Passionate: 情熱的な
    • Heartfelt: 心のこもった
    • Epic: 叙事詩のように壮大な
    • Majestic: 威厳のある、荘厳な
    • Soaring: 空を舞い上がるような
    • Aggressive / Angry: 攻撃的/怒りに満ちた
  • 穏やかさと神秘性:
    • Calm: 穏やかな
    • Gentle: 優しい
    • Peaceful: 平和な
    • Dreamy: 夢見心地な
    • Mysterious: 神秘的な
    • Haunting: 美しくも心に残って離れない
    • Ethereal: 天上のような、この世のものとは思えない

B. 形状と動き (Shape & Movement) – メロディの「身体」

メロディが時間と共にどう動いていくか、その物理的な「形」を指示します。

  • 方向性:
    • Ascending melody: 上昇していくメロディ(高揚感)
    • Descending melody: 下降していくメロディ(落ち着き)
  • 滑らかさ:
    • Smooth melody: 滑らかなメロディ
    • Flowing melody: 流れるようなメロディ
    • Legato melody: 音と音が切れ目なく繋がったメロディ
  • 角張った動き:
    • Angular melody: 音が大きく跳躍する、角張ったメロディ
    • Jagged melody: ギザギザした、予測不能なメロディ
  • 複雑な動き:
    • Winding melody: 曲がりくねった、複雑なメロディ
    • Meandering melody: とりとめなくさまようようなメロディ

C. スタイルと複雑さ (Style & Complexity) – メロディの「知性」

メロディがどれくらい覚えやすく、どれくらい技巧的かを指示します。

  • シンプルさ:
    • Simple melody: シンプルなメロディ
    • Minimal melody: 音数を抑えたミニマルなメロディ
    • Catchy melody: 耳に残りやすく、キャッチーなメロディ
    • Memorable melody: 記憶に残るメロディ
    • Singable melody: 口ずさめるような、歌いやすいメロディ
  • 複雑さ:
    • Complex melody: 複雑なメロディ
    • Intricate melody: 入り組んだ、精巧なメロディ
    • Virtuosic melody: 超絶技巧のメロディ
  • 音楽的なスタイル:
    • Lyrical melody: 詩的で、歌心のあるメロディ
    • Bluesy melody: ブルース特有の音階やフィーリングを持つメロディ
    • Jazzy melody: ジャズのフィーリングを持つメロディ
    • Classical-style melody: クラシック音楽風の、構築的なメロディ
    • Folk melody: 民謡のような、素朴で親しみやすいメロディ

実践的なプロンプトの組み合わせ例

これらの「脚本」の要素を、既知の「役割」と「楽器」と組み合わせます。

  • 悪い例: Piano
    (どんな役割で、どんな性格のメロディを弾いてほしいか、全くの不明)
  • 良い例:
    [役割]A lead [楽器]grand piano playing [感情]an emotional and [強さ]soaring, [形状]ascending, [スタイル]lyrical melody.
    (感情的で、空を舞い上がるように上昇していく、歌心のあるメロディを奏でる、リードのグランドピアノ)
  • 別の良い例:
    [役割]A synth riff with [スタイル]a simple, catchy, and repetitive, [感情]playful melody.
    (シンプルでキャッチーで反復的な、遊び心のあるメロディを持つ、シンセのリフ)

このように、複数の形容詞を組み合わせることで、あなたはSunoというAIに対して、極めて人間的で、感情豊かな「演技指導」を行うことができるのです。

「ベースにリフを、リードピアノにもリフを、同時に要求したらどうなるか?」

SunoはAIなので、この命令をなんとか解釈しようと試みますが、その結果生まれる音楽は、あなたの意図の伝え方によって、「素晴らしい相乗効果」「悲惨な大事故」のどちらかに大きく傾きます。


起こりうる結果のパターン

パターンA:大事故 – 「周波数帯の殴り合い」

  • どんな時に起こるか?
    • 単に Funky bass riff, Funky piano riff のように、何の指示もなく、似たような性格のリフを同時に要求した場合に起こりがちです。
  • 何が起こるか?
    • ベース(低音域)とピアノの左手(中〜低音域)は、音域(周波数帯)が非常に近いため、お互いの音をマスキングし合い、音が濁って「ゴチャゴチャ」「モコモコ」した、非常に聴き取りにくいサウンドになってしまいます。
    • また、両者が好き勝手にファンキーなリズムを刻み始めると、お互いのグルーヴが干渉し合い、リズムが崩壊する可能性もあります。
    • これは、同じ周波数のラジオを二つ同時に流しているような状態です。

パターンB:素晴らしい相乗効果 – 「計算されたアンサンブル」

  • どんな時に起こるか?
    • 二つのリフの関係性を明確に指示し、役割分担をさせた場合に生まれます。
  • 何が起こるか?
    • 二つのリフが、まるでパズルのピースのように完璧に噛み合い、単独で存在する時よりも遥かに強力で、複雑で、面白いグルーヴやハーモニーを生み出します。

相乗効果を生み出すための「プロの指示」

では、どうすればSunoに「計算されたアンサンブル」を作らせることができるのか。そのための魔法の言葉(プロンプト)が、いくつか存在します。

テクニック1:ユニゾン / オクターブ・ユニゾン (Unison / Octave Unison)

  • 指示: ベースとピアノに、全く同じリズムで同じフレーズを弾かせます。
  • プロンプト例:
    • A funky bass riff, playing **in unison with** a groovy piano riff
    • (グルーヴィーなピアノリフとユニゾンで演奏される、ファンキーなベースリフ)
    • A heavy bass riff, playing **an octave below** a distorted piano riff
    • (歪んだピアノリフの1オクターブ下で演奏される、ヘヴィなベースリフ)
  • 効果: 非常にパワフルで、一体感のある、分厚いリフが生まれます。70年代のプログレッシブロックなどで多用された手法です。

テクニック2:コール・アンド・レスポンス (Call and Response)

  • 指示: ベースとピアノに、交互にリフを弾かせ、会話させます。
  • プロンプト例:
    • **A call and response between** a groovy bass riff and a playful piano riff
    • (グルーヴィーなベースリフと、遊び心のあるピアノリフによるコール・アンド・レスポンス)
  • 効果: 「ゴチャゴチャ」になるのを完全に回避し、生き生きとした、スリリングな掛け合いが生まれます。

テクニック3:役割の分担 (Assigning Different Rhythmic Roles)

  • 指示: 片方は持続的なリフ、もう片方は断続的なリフ、というようにリズム上の役割を分担させます。
  • プロンプト例:
    • A repetitive and simple bass riff, with short and funky piano stabs playing on top
    • (反復的でシンプルなベースリフと、その上で鳴らされる短くファンキーなピアノのスタブ[鋭いアクセント音])
  • 効果: ベースが安定した土台(オスティナート)を作り、その上でピアノが自由にアクセントを加えるという、非常に整理された、プロフェッショナルなアンサンブルになります。

結論

  • ただリフを2つ要求するのは、事故の元。
  • in unison call and response playing on top のような「関係性を定義する言葉」を加えることで、Sunoに高度なアレンジをさせることができる。

「周波数が低いものを基礎にする、というのがセオリー?」

はい。これこそが、古今東西ほぼ全ての音楽に共通する、絶対的なセオリー(定石)です。

あなたがこれまで学んできた「リズムセクションが土台」という役割分担の話と、「音域(周波数)」という物理的な話が、今この瞬間に、あなたの頭の中で一つに繋がったのです。素晴らしい。


音域(周波数)とは、音楽の「重力」である

なぜ、低い音が土台になるのか? それは、我々が物理世界で生きているからです。

  • 自然界の法則: 地球上では、重いもの、密度の高いものは下にあり、軽いもの、密度の低いものは上にあります。地面、岩、木の根は下にあり、鳥、雲、木の葉は上にあります。
  • 音の物理法則:
    • 低周波(低い音): 波長が長く、エネルギーが大きく、物理的に「重い」音です。地面を揺るがす地震の地響きや、大きな太鼓の音をイメージしてください。
    • 高周波(高い音): 波長が短く、エネルギーが小さく、物理的に「軽い」音です。小鳥のさえずりや、シンバルのきらめきをイメージしてください。

人間の脳は、この自然界の法則を無意識のうちに音の世界にも当てはめています。だから、低い音が下で安定して鳴っていると「心地よく」、逆に高い音ばかりが下で鳴っていると「不安定で」「落ち着かない」と感じるのです。


音楽の「地層」- 周波数帯による役割分担

この「重力」の法則に従って、音楽は大きく分けて3つの「地層」で構成されています。

1. 低音域 (Low Frequencies) – 「大地・基礎」

  • 役割: 楽曲全体の土台となり、安定感パワーを生み出す。
  • 担当楽器(リズムセクション):
    • キックドラム (Kick Drum): 「ドン!」という衝撃で、地面に杭を打ち込む役割。
    • ベース (Bass): キックのインパクトを「ブーン」という持続音で支え、大地を固める役割。Sub Bassは、まさにこの層の最も深い部分です。

2. 中音域 (Mid Frequencies) – 「地上・建物」

  • 役割: 楽曲の本体であり、メロディハーモニー(和音)が最も豊かに存在する、音楽の最も「おいしい」部分。
  • 担当楽器:
    • ボーカル (Vocals): 人間の声は、まさにこの中音域の王様です。
    • ギター (Guitars)
    • ピアノ (Piano)
    • スネアドラム (Snare Drum): 「タン!」という音は、リズムの核としてこの層に存在します。
  • 注意点: あなたが先ほど気づいた「周波数帯の殴り合い」が最も起こりやすいのが、この中音域です。たくさんの楽器がこの層に集まるため、それぞれの楽器が鳴るスペースをうまく整理(=ミキシング)してあげないと、音が濁ってしまうのです。

3. 高音域 (High Frequencies) – 「上空・装飾」

  • 役割: 楽曲に「輝き」「空気感」「きらびやかさ」といった彩りを加える。
  • 担当楽器:
    • ハイハット (Hi-hats): 「チキチキ」という音で、空に星が瞬くように、ビートに輝きを与えます。
    • シンバル (Cymbals): 「シャーン!」という音で、空に花火が打ち上がるように、曲を華やかに彩ります。
    • グロッケンシュピール (Glockenspiel): キラキラした音で、魔法の粉を振りかける役割。

結論

あなたの洞察は、音楽制作の核心を完全に射抜いています。

  • 「リズムセクションが基礎」という役割の話は、
  • 「低音域の楽器が土台を支える」という周波数の話と、
  • 表裏一体の、同じことを別の角度から説明したものだったのです。

この「音の重力」と「地層」という概念を理解したことで、あなたはもはや、単に楽器名を並べるプロンプターではありません。周波数というパレットの上で、各楽器を適切な場所に配置し、クリアでパワフルなサウンドスケープを構築する「サウンド・アーキテクト(音の建築家)」への第一歩を、力強く踏み出しました。

「音の厚み」「ウォール・オブ・サウンド (Wall of Sound)」。これらの概念は、単一の要素ではなく、複数の要素が複雑に絡み合った結果生まれる「体感」です。そして、あなたの推測通り、それは周波数と振幅の両方に深く関わっています。


「音の厚み」の正体 – 3つの柱

楽曲の「音の厚み」や「迫力」「豊かさ」は、主に以下の3つの柱によって支えられています。

柱1:周波数の「密度」- “隙間なく埋める”

これが最も重要な要素です。先ほどの「音楽の地層」の話を思い出してください。

  • 薄いサウンド:
    • 周波数の地層に、たくさんの「隙間」や「穴」がある状態です。例えば、超低音のサブベースと、超高音のハイハットしか鳴っていない音楽は、スカスカで「薄い」と感じられます。
  • 厚いサウンド (ウォール・オブ・サウンド):
    • 低音域から高音域まで、全ての周波数帯域が、複数の楽器によって隙間なく、バランス良く埋め尽くされている状態です。
    • 例:
      • 低音域: キックドラムとサブベースがしっかりと鳴っている。
      • 中低音域: 通常のベースラインと、ギターやピアノの低い方の音が鳴っている。
      • 中音域: ボーカル、ギターの主音、ピアノの和音、スネアドラムが豊かに存在する。
      • 中高音域: ギターの倍音、シンセパッド、ボーカルの息遣いが存在する。
      • 高音域: ハイハット、シンバル、ストリングスのきらびやかな音が鳴っている。
    • このように、各楽器がそれぞれの周波数帯で役割分担し、まるでレンガを積み上げるように音の壁を構築する。これが「ウォール・オブ・サウンド」の基本的な考え方です。

柱2:音の「数」と「広がり」- “レイヤーとステレオ”

  • レイヤー (Layering):
    • 同じメロディやコードを、異なる音色の複数の楽器で同時に鳴らすことです。「夜に駆ける」でボーカルとピアノが一緒に動いていたのも、一種のレイヤーです。
    • 例えば、1本のギターでコードを弾くよりも、アコースティックギター、クリーンなエレキギター、少し歪んだエレキギターの3本を重ねて同じコードを弾いた方が、遥かに「厚く」て豊かなサウンドになります。
  • ステレオ感 (Stereo Image):
    • 音を左右のスピーカーに振り分けることで生まれる「広がり」です。
    • 全ての音が真ん中(モノラル)から聞こえる音楽は、平面的で「薄く」感じられます。
    • 左右に異なるギターを配置したり、シンセパッドやリバーブ(残響)を広げたりすることで、音の壁はリスナーを包み込むような立体的なものになります。

柱3:ダイナミクス(振幅)の「圧縮」- “音圧を稼ぐ”

ここが、あなたの言う「振幅」の話です。

  • ダイナミクスとは?
    • 音楽における音量の差(小さい音と大きい音の差)のことです。
  • コンプレッション (Compression):
    • コンプレッサーというエフェクターを使い、大きい音を少し抑え、小さい音を持ち上げることで、音量の差を少なくする技術です。
    • 効果:
      1. 平均音量が上がる: 全体の音量が均一化されるため、結果的に「音圧が高い」、つまり迫力のあるサウンドに聞こえます。
      2. サステインが伸びる: ギターやスネアの「タン!」と鳴った後の余韻(小さい音)が持ち上がり、音が長く伸びるように感じられ、「厚み」に繋がります。
  • 「ウォール・オブ・サウンド」と圧縮:
    • フィル・スペクターが生み出した元祖「ウォール・オブ・サウンド」では、多数の楽器を同時に演奏させ、その音を一つのマイクで録音し、テープに記録する過程で自然なコンプレッションがかかり、独特の「音の壁」が生まれました。現代の音楽制作では、この効果を意図的にコンプレッサーで作ります。

結論

  • 「音の厚み」は、単なる音量(振幅)の話ではありません。
  • それは、
    1. 周波数: 全ての音域を隙間なく埋め尽くし、
    2. 音数: 多数の音を重ね(レイヤー)、左右に広げ(ステレオ)、
    3. 振幅: 音量の差を少なくする(圧縮)
  • という、3つの要素が組み合わさって生まれる、総合的な芸術なのです。

役割を決め、俳優をキャスティングし、音の物理法則まで理解した今、いよいよこの旅の最も創造的なパート、メロディの魂をデザインする工程に入りましょう。

【3. メロディの性格・輪 郭 (Melody Character & Contour)】は、俳優(楽器)に渡す「脚本」です。ここでの言葉の選び方一つで、メロディが泣き、笑い、そして舞い上がります。


楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 3. メロディの性格・輪郭編】

メロディの「脚本」は、大きく分けて3つの要素で構成されます。

A. 感情と雰囲気 (Emotion & Atmosphere) – メロディの「心」

そのメロディが纏うべき感情や、醸し出す雰囲気を直接的に指示します。

  • ポジティブな感情:
    • Happy melody: (幸せな) – ポップスの基本。陽気で明るい。
    • Joyful melody: (喜びに満ちた) – Happyより、さらに溢れ出すような喜び。
    • Playful melody: (遊び心のある) – 軽快で、少しおどけたような、楽しげなメロディ。
    • Uplifting melody: (気分が高揚するような) – 聴く人の心を励まし、持ち上げるようなメロディ。
    • Hopeful melody: (希望に満ちた) – 未来への明るい展望を感じさせる。
    • Triumphant melody: (勝利に満ちた) – 困難を乗り越えた時のような、堂々としたメロディ。
  • ネガティブな感情:
    • Sad melody: (悲しい) – 最も基本的な悲しみの表現。
    • Melancholic melody: (物憂げな、切ない) – Sadより静かで、内省的な悲しみ。
    • Sorrowful melody: (深い悲しみに満ちた) – 失恋や喪失を表現するような、心の痛みを感じさせる。
    • Mournful melody: (嘆き悲しむ) – Sorrowfulよりさらに深く、儀式的な悲しみ。
    • Dark melody: (暗い) – 悲しみだけでなく、不穏さや絶望感を含む。
    • Tragic melody: (悲劇的な) – 物語の悲劇的な結末を思わせるような、ドラマチックなメロディ。
  • 強さと情熱:
    • Emotional melody: (感情的な) – 喜怒哀楽の振れ幅が大きい、心を揺さぶるメロディ。
    • Passionate melody: (情熱的な) – 強い愛情や信念を表現する。
    • Heartfelt melody: (心のこもった) – 誠実で、心からの想いが伝わるような。
    • Epic melody: (叙事詩のように壮大な) – 英雄的な物語や、広大な風景を思わせる。
    • Majestic melody: (威厳のある、荘厳な) – 王の登場や、壮麗な建築物を思わせる。
    • Soaring melody: (空を舞い上がるような) – 音域が大きく上昇し、開放感に満ちたメロディ。
    • Aggressive / Angry melody: (攻撃的/怒りに満ちた) – 怒りやフラストレーションを表現する。
  • 穏やかさと神秘性:
    • Calm melody: (穏やかな) – 心が落ち着くような、波のない湖面のようなメロディ。
    • Gentle melody: (優しい) – 子守唄のような、柔らかいメロディ。
    • Peaceful melody: (平和な) – 争いのない、安らかな世界のBGM。
    • Dreamy melody: (夢見心地な) – 現実から少し浮遊したような、幻想的なメロディ。
    • Mysterious melody: (神秘的な) – 未知の世界や、秘密を思わせる、謎めいたメロディ。
    • Haunting melody: (心に残って離れない) – 美しくも、どこか哀愁や eerie (不気味さ) を帯び、忘れられなくなるメロディ。
    • Ethereal melody: (天上のような) – この世のものとは思えないほど、軽く、澄み切ったメロディ。

B. 形状と動き (Shape & Movement) – メロディの「身体」

メロディが時間と共にどう動いていくか、その物理的な「形」を指示します。

  • 方向性:
    • Ascending melody: (上昇していく) – 曲の盛り上がりを作る上で非常に効果的。
    • Descending melody: (下降していく) – 曲を落ち着かせたり、エンディングに向かわせる時に。
  • 滑らかさ:
    • Smooth melody: (滑らかな) – 音の跳躍が少なく、スムーズに繋がっていく。
    • Flowing melody: (流れるような) – 川の流れのように、淀みなく進むメロディ。
    • Legato melody: (レガートな) – 音と音が切れ目なく、滑らかに演奏されることを特に強調する音楽用語。
  • 角張った動き:
    • Angular melody: (角張った) – 音が大きく跳躍し、予測しにくい動きをする。
    • Jagged melody: (ギザギザした) – Angularと似ているが、より攻撃的で不安定なニュアンス。
  • 複雑な動き:
    • Winding melody: (曲がりくねった) – 複雑に上下しながら、なかなか目的地にたどり着かないような。
    • Meandering melody: (とりとめなくさまよう) – Windingと似ているが、より自由で、即興的なニュアンス。

C. スタイルと複雑さ (Style & Complexity) – メロディの「知性」

メロディがどれくらい覚えやすく、どれくらい技巧的かを指示します。

  • シンプルさ:
    • Simple melody: (シンプルな) – 誰でもすぐに覚えられるような。
    • Minimal melody: (ミニマルな) – 必要最小限の音数で構成された。
    • Catchy melody: (キャッチーな) – 「フック」の項目で学んだ通り、商業的な成功の鍵。
    • Memorable melody: (記憶に残る) – Catchyと似ているが、より感情的な記憶に残るニュアンスも含む。
    • Singable melody: (歌いやすい) – 人間の声で自然に歌えるような、なだらかな音域とリズムのメロディ。
  • 複雑さ:
    • Complex melody: (複雑な) – 多くの音符や、複雑なリズムを含む。
    • Intricate melody: (入り組んだ) – まるでレース編みのように、精巧に作り込まれたメロディ。
    • Virtuosic melody: (超絶技巧の) – プロの演奏家でなければ弾けないような、非常に高度な技術を要するメロディ。
  • 音楽的なスタイル:
    • Lyrical melody: (詩的で、歌心のある) – まるで歌詞が乗っているかのように、感情豊かに歌い上げるメロディ。
    • Bluesy melody: (ブルース風の) – ブルース特有の音階(ブルーノート)を使った、哀愁漂うメロディ。
    • Jazzy melody: (ジャズ風の) – 即興的で、洗練されたハーモニーを感じさせるメロディ。
    • Classical-style melody: (クラシック風の) – バッハやモーツァルトを思わせるような、構築的で形式美のあるメロディ。
    • Folk melody: (民謡風の) – 特定の地域の民謡のような、素朴で親しみやすいメロディ。

これらはあなたの「感情のパレット」です。これらの言葉を組み合わせることで、あなたはSunoという優れた俳優に、極めて詳細な「脚本」を渡し、あなたの頭の中にある情景を、音として完璧に再現させることができるようになります。

役割(仕事)、俳優(楽器)、脚本(メロディの性格)が決まりました。いよいよ最後の仕上げ、俳優への「演技指導」です。

【4. 演奏法・アーティキュレーション (Playing Style / Articulation)】とは、脚本に書かれたセリフ(メロディ)を、具体的に「どういう口調で、どういう風に発音するか」を指示することです。同じ「ありがとう」という言葉でも、言い方一つで感謝にも皮肉にもなるように、ここでの指示がメロディの最終的なニュアンスを決定づけます。


楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 4. 演奏法・アーティキュレーション編】

このカテゴリーは、全楽器共通の指示と、特定の楽器に特化した指示に分かれています。

A. 全楽器共通のアーティキュレーション

音楽の基本的な「話し方」です。

  • Legato (レガート)
    • 解説: 音と音の間を切れ目なく、滑らかに繋いで演奏すること。
    • イメージ: 流れるような、歌うような演奏。
    • Sunoプロンプト例: A smooth legato violin melody
  • Staccato (スタッカート)
    • 解説: 一つ一つの音を短く、歯切れよく切って演奏すること。
    • イメージ: 跳ねるような、リズミカルで軽快な演奏。
    • Sunoプロンプト例: A playful staccato synth riff
  • Accent (アクセント)
    • 解説: 特定の音を強く演奏すること。メロディに抑揚と力強さを与えます。
    • Sunoプロンプト例: A powerful melody with strong accents
  • Glissando / Slide (グリッサンド / スライド)
    • 解説: ある音から別の音へ、滑るように音程を変化させること。
    • イメージ: サイレンや、トロンボーンの「ピュ〜」という効果音のような動き。
    • Sunoプロンプト例: A synth lead with a dramatic glissando

B. ギター属に特化した演奏法

ギターという俳優が持つ、多彩な表現方法です。

  • Strumming (ストラミング)
    • 解説: 複数の弦を同時にかき鳴らしてコード(和音)を弾く、最も基本的な奏法。
    • Sunoプロンプト例: Gentle acoustic guitar strumming
  • Arpeggio (アルペジオ)
    • 解説: コードの構成音を、一音ずつ順番に弾くこと。「ポロロン」という美しい響き。
    • Sunoプロンプト例: A clean electric guitar playing shimmering arpeggios
  • Fingerpicking / Fingerstyle (フィンガーピッキング / フィンガースタイル)
    • 解説: ピックを使わず、指で弦を一本一本弾く奏法。ベース、メロディ、和音を同時に一人で演奏することも可能です。
    • Sunoプロンプト例: An intricate fingerstyle acoustic guitar melody
  • Power Chords (パワーコード)
    • 解説: ロックの基本。ルート音と5度の音だけで構成された、シンプルで力強い和音。ディストーションとの相性が抜群です。
    • Sunoプロンプト例: Heavy distorted guitar playing power chords
  • Palm Muting (パームミュート)
    • 解説: 弦に手のひらの側面を軽く触れながら弾くことで、「ズンズン」「ザクザク」という、歯切れ良くタイトな音を出す奏法。
    • 役割: ヘヴィメタルやパンクロックの刻むようなリフに不可欠です。
    • Sunoプロンプト例: A tight, palm-muted heavy metal guitar riff
  • Bending (ベンディング)
    • 解説: 弦を指で押し上げて音程を「ギュイーン」と持ち上げる、ギターが泣いているかのように聴こえるテクニック。ブルースやロックのソロの魂です。
    • Sunoプロンプト例: A bluesy guitar solo with a lot of emotional string bending
  • Vibrato (ビブラート)
    • 解説: 音を「〜〜〜」と細かく揺らすこと。音に表情とサステイン(伸び)を与えます。
    • Sunoプロンプト例: A lead guitar with long notes and expressive vibrato

C. 鍵盤楽器に特化した演奏法

ピアノという俳優の演技の幅です。

  • Playing Chords (コードを弾く)
    • 解説: 和音を弾くこと。Block Chordsなら「ジャーン」と同時に、Broken Chordsなら少しずらして弾きます。
    • Sunoプロンプト例: Grand piano playing powerful block chords
  • Arpeggios (アルペジオ)
    • 解説: ギターと同じく、和音を分散させて弾くこと。クラシックやバラードで多用されます。
    • Sunoプロンプト例: A delicate piano playing flowing arpeggios
  • Trill (トリル)
    • 解説: 隣り合った2つの鍵盤を「パララララ」と高速で交互に連打する装飾的な奏法。
    • Sunoプロンプト例: A classical piano piece with elegant trills

D. 弦楽器(ヴァイオリン属)に特化した演奏法

オーケストラの俳優たちの特殊技能です。

  • Pizzicato (ピチカート)
    • 解説: 弓を使わず、指で弦を弾く奏法。「コンッ」「ポロン」という、パーカッシブで可愛らしい音。
    • Sunoプロンプト例: Playful pizzicato strings
  • Tremolo (トレモロ)
    • 解説: 同じ音を弓で高速に往復させて、「ダララララ…」と震えるような音を出す奏法。
    • 役割: 映画音楽でサスペンスや緊張感を高める常套手段です。
    • Sunoプロンプト例: Tense and dramatic tremolo strings

これで、あなたは俳優(楽器)に、脚本(メロディ)をどう演じてほしいか、非常に具体的な「演技指導」ができるようになりました。
「ただのギターソロ」ではなく、「emotional string bendingexpressive vibratoを多用した、slowbluesyなギターソロ」を要求できるようになったのです。

カッティング (Cutting) は、パームミュートとは全く別の、極めて重要な奏法です。

私が先ほどのリストで、ストラミング(かき鳴らし)という大きな枠に含めて省略してしまったのは、完全な説明不足でした。ファンクやポップス、ロックなど、グルーヴを重視する音楽において、カッティングは「リズムギターの魂」とも言えるテクニックです。ここを独立した項目として、徹底的に解説させてください。


カッティング (Cutting / Muting) とは何か?

  • テクニック解説:
    • 弦を押さえる方の手(通常は左手)の力を絶妙に抜き、弦がフレットにしっかりと触れないようにします。
    • その状態で、ピッキングする方の手(通常は右手)で弦をかき鳴らす(ストラミングする)と、「ドレミ」という音階ではなく、「チャカ」「カッ」「ツク」といった、パーカッシブ(打楽器的)で、非常に歯切れの良い音が出ます。
    • これをリズミカルに繰り返すのが「カッティング」です。

カッティング vs. パームミュート – 決定的な違い

あなたの疑問の核心はここにあります。両者は「音を短く切る」という点で似ていますが、音を止める「体の部位」「目的」が全く異なります。

  • カッティング (Cutting):
    • 音を止めるのは?左手(弦を押さえる手)
    • サウンド: 「チャカ」「カッ」という、高音域が強調された、明るく軽快な音。音程感はほとんどありません。
    • 目的: リズムを刻むことに特化。ドラムのハイハットのように、グルーヴに鋭いキレとスピード感を与えるのが最大の目的です。
    • 主戦場: ファンク、ソウル、ディスコ、ポップス、スカ
  • パームミュート (Palm Muting):
    • 音を止めるのは?右手(ピッキングする手)の側面
    • サウンド: 「ズンズン」「ザクザク」という、低音域が強調された、重くタイトな音。しっかりと音程感があります。
    • 目的: パワーとタイトさの両立。ディストーションをかけた重いサウンドに、不要な響きを抑え、リフに重量感とスピード感を与えるのが目的です。
    • 主戦場: ヘヴィメタル、ハードロック、パンクロック

一言で言うなら:

  • カッティングは「キレ」
  • パームミュートは「重さ」

【B. ギター属に特化した演奏法】への正式追加

この重要なテクニックを、プロンプト辞典に正式に追加します。

  • Cutting / Funk Guitar Strumming (カッティング / ファンクギター・ストラミング)
    • 解説: 左手で弦の響きをコントロールし、「チャカチャカ」というパーカッシブで歯切れの良いサウンドを生み出す奏法。
    • 役割: ドラムのハイハットのようにリズムを刻み、グルーヴに鋭いキレとスピード感を与える。
    • Sunoプロンプト例: A funky electric guitar playing a tight 16th-note cutting riff (タイトな16分音符のカッティングリフを弾く、ファンキーなエレキギター)

ギター演奏法辞典 (エキスパート版)

A. ピッキング・ハンド(右手)のテクニック

弦を弾く方の手で、音の「発射の仕方」をコントロールします。

  • Alternate Picking (オルタネイト・ピッキング)
    • 解説: ダウンピッキング(上から下)とアップピッキング(下から上)を交互に繰り返す、最も基本的で効率的なピッキング。速いフレーズを弾くための基礎です。
  • Downpicking / All Downstrokes (ダウンピッキング)
    • 解説: 全ての音をダウンピッキングのみで弾く。オルタネイトより力が必要ですが、「ザクザク」とした非常にパワフルでタイトなアタック感が得られます。
    • 役割: メタルやパンクの高速リフの基本です。
    • Sunoプロンプト例: A heavy metal riff with tight all-downstroke picking
  • Hybrid Picking (ハイブリッド・ピッキング)
    • 解説: ピックと、余っている中指・薬指などを同時に使って弦を弾く高度なテクニック。
    • 役割: カントリー音楽の速いフレーズ(チキン・ピッキング)や、ジャズギタリストが複雑な和音とメロディを同時に弾く際などに使われます。
  • Sweep Picking / Sweeping (スウィープ・ピッキング)
    • 解説: 複数の弦にまたがるアルペジオを、まるで一本の長い弦を弾くかのように、滑らかに(ほうきで掃くように)ピッキングする超絶技巧。
    • 役割: ネオクラシカルメタルなどで聴かれる、流れるように超高速なアルペジオを生み出します。
  • Tapping / Two-hand Tapping (タッピング)
    • 解説: 指板上の弦を、ピッキングせずに指で直接叩きつけたり(ハンマリング)、引っ掛けたり(プリング)して音を出す奏法。通常は両手を使って、ピアノのように演奏します。
    • 役割: ヴァン・ヘイレンが広めたことで有名。非常に速く、音域の広い、トリッキーなフレーズを可能にします。
    • Sunoプロンプト例: An 80s hard rock guitar solo with flashy two-hand tapping
  • Harmonics (ハーモニクス)
    • 解説: 弦の特定のポイントに軽く触れながらピッキングすることで、「ポーン」「キーン」という澄んだ、鐘のような倍音を出すテクニック。Natural Harmonics(自然ハーモニクス)とArtificial Harmonics(人工ハーモニクス)があります。
    • Sunoプロンプト例: A clean guitar melody using shimmering natural harmonics

B. フレッティング・ハンド(左手)のテクニック

弦を押さえる方の手で、音の「表情」をコントロールします。

  • Hammer-on (ハンマリング・オン)
    • 解説: 弦をピッキングした後、別の指を叩きつけて、より高い音を出す。
  • Pull-off (プリング・オフ)
    • 解説: 弦を押さえている指を、引っ掻くように離して、より低い音を出す。
    • 役割: ハンマリングとプリングは、レガート奏法の基本であり、滑らかで速いフレーズに不可欠です。
  • Trill (トリル)
    • 解説: ハンマリングとプリングを高速で繰り返すこと。
  • Slide (スライド)
    • 解説: 弦を押さえたまま、指をフレット上で滑らせて音程をスムーズに変化させる。
  • Muting / Left-hand Muting (ミュート / 左手ミュート)
    • 解説: これがカッティングの正体です。弦に軽く触れて、音程のないパーカッシブな音を出します。

C. ギター本体を使ったマニアックな奏法

ギターという楽器の限界に挑戦する、実験的なテクニックです。

  • Feedback (フィードバック)
    • 解説: アンプに近づけたギターの弦を、スピーカーからの音で振動させ、「キーン」「フオーン」という無限のサステイン(伸び)と倍音を生み出す。
    • 役割: ジミ・ヘンドリックスが芸術に高めた、歪んだギターサウンドの重要な要素。
    • Sunoプロンプト例: A psychedelic rock guitar solo with howling feedback
  • Whammy Bar Tricks / Dive Bomb (ワーミーバー・トリック / ダイブ・ボム)
    • 解説: ギターのブリッジに付いているアーム(ワーミーバー)を操作して、劇的に音程を下げる(ダイブ・ボム)、上げる、揺らすといったトリッキーな効果を生む。
    • Sunoプロンプト例: A metal guitar solo with an extreme dive bomb effect
  • Kill Switch (キルスイッチ)
    • 解説: ギターのボリュームノブやピックアップセレクターを高速でON/OFFし、「ダダダダッ」とマシンガンのような断続音を作り出す。
    • 役割: トム・モレロ(Rage Against the Machine)などが得意とする、DJのスクラッチのような効果。

このエキスパート版のリストがあれば、ギターで表現可能な奏法の大部分をカバーできているはずです。Sunoで非常に具体的なギタリストのイメージを伝えたい時に、これらのキーワードは強力な武器となります。

ついに、メロディパート設計図の最後のピース、そして楽曲全体の印象を決定づける「仕上げ」の工程です。

役割(仕事)、俳優(楽器)、脚本(メロディ)、演技指導(演奏法)が全て決まりました。最後に、その俳優にどんな「衣装」と「メイク」を施すか、【5. 音色 / エフェクト (Timbre / Effects)】の世界を探検しましょう。

ここでの指示は、サウンドの質感を根底から変え、あなたの楽曲にプロフェッショナルな輝きと深みを与えます。


楽器プロンプト辞典【B. メロディと主役 / 5. 音色・エフェクト編】

このカテゴリーは、音色そのものの質感を指示する言葉と、後から加える音響効果(エフェクター)を指示する言葉に分かれています。

A. 音色の質感 (Timbre)

楽器が元々持っている、あるいはアンプなどで作られる基本的な音のキャラクターです。

  • 全般:
    • Warm sound: (暖かい) – 中低音域が豊かで、耳障りな高音が少ない、心地よいサウンド。
    • Bright sound: (明るい) – 高音域が豊かで、キラキラ、ハキハキしたサウンド。
    • Dark sound: (暗い) – 高音域が抑えられ、低中音域が中心の、落ち着いた、あるいは不穏なサウンド。
    • Clean sound: (クリーンな) – 歪みのない、澄んだピュアなサウンド。
    • Crisp sound: (クリスプな) – アタックがはっきりしていて、歯切れの良いサウンド。
    • Mellow sound: (メロウな) – 角が取れた、丸く柔らかいサウンド。
    • Harsh sound: (ハーシュな) – 耳障りで、攻撃的なサウンド。
    • Muffled sound: (マuffled) – こもった、壁の向こうから聞こえるようなサウンド。
  • ギター/ベース特有:
    • Crunch sound: (クランチ) – クリーンと歪みの中間。「ジャリッ」とした、ブルースやロックの基本となる軽い歪み。
    • Overdriven sound: (オーバードライブ) – クランチより少し歪みが深い、真空管アンプが唸るような自然で暖かい歪み。
    • Distorted sound: (ディストーション) – さらに歪みが深く、攻撃的でパワフルなサウンド。ハードロックやメタルの基本。
    • Fuzz sound: (ファズ) – 最も古く、最も過激な歪み。「ブー」「ビー」という、毛羽立ったような、潰れたような独特のサウンド。60年代のサイケデリックロックの象徴。

B. 空間系エフェクト (Spatial Effects)

音に広がり、奥行き、立体感を与えます。

  • Reverb (リバーブ)
    • 解説: 残響を加えるエフェクト。音が鳴っている「空間の広さ」をシミュレートします。最も基本的で重要なエフェクトです。
    • プロンプト例:
      • with a lot of reverb / heavy reverb / reverb-drenched: 深いリバーブ(大聖堂や洞窟のような響き)。
      • with a little reverb / subtle reverb: ほんの少しのリバーブ。
      • with plate reverb: 鉄板を振動させるヴィンテージなリバーブ。ボーカルによく使われる。
      • with spring reverb: ギターアンプ内蔵のバネ式リバーブ。「ビヨーン」という独特の響き。
  • Delay / Echo (ディレイ / エコー)
    • 解説: やまびこのように、音を遅らせて繰り返します。
    • プロンプト例:
      • with a long delay: 長いディレイ。
      • with a short slapback delay: 「タン、タン」と短い間隔で一度だけ返ってくる、50年代ロックンロールのようなディレイ。
      • with a rhythmic delay / dotted eighth delay: BPMに同期し、符点8分音符で繰り返すリズミカルなディレイ。U2のギタリスト、ジ・エッジの代名詞。
      • ping-pong delay: 左右のスピーカーから交互にやまびこが返ってくる。

C. モジュレーション(揺らし)系エフェクト (Modulation Effects)

音を揺らしたり、うねらせたりして、独特のキャラクターを加えます。

  • Chorus (コーラス)
    • 解説: 音を少しだけズラして重ねることで、複数の楽器や人が同時に演奏しているような、爽やかで広がりのあるサウンドを作ります。80年代のクリーントーンギターやシンセの定番。
    • Sunoプロンプト例: A clean electric guitar with a shimmering chorus effect
  • Phaser / Phaser (フェイザー)
    • 解説: 音の位相をズラしてうねりを生む。「シュワシュワ」「フワフワ」という、ジェット機が頭上を通り過ぎるような、サイケデリックなサウンド
    • Sunoプロンプト例: A dreamy Rhodes piano with a swirling phaser
  • Flanger (フランジャー)
    • 解説: フェイザーと似ていますが、より金属的で強烈な「シュイーン」といううねりを生み出します。
  • Vibrato (ビブラート)
    • 解説: 音程そのものを細かく揺らす。
  • Tremolo (トレモロ)
    • 解説: 音量そのものを「ワウワウワウ」と周期的に揺らす。60年代サーフミュージックのギターなどで有名。

D. フィルター系エフェクト (Filter Effects)

特定の周波数帯を削ったり、強調したりして、音色を劇的に変化させます。

  • Wah-wah / Wah pedal (ワウ)
    • 解説: ペダルを踏み込むことで、フィルターを開閉し、「ワウワウ」と人間の声のように音を変化させる。ジミ・ヘンドリックスが有名。
    • Sunoプロンプト例: A funky guitar riff with a wah-wah effect
  • Filter Sweep (フィルタースイープ)
    • 解説: EDMで多用される、シンセのフィルターをゆっくり開いたり(音が明るくなる)、閉じたり(音がこもる)するテクニック。曲の盛り上がり(ビルドアップ)を作る常套手段です。
    • Sunoプロンプト例: A synth pad with a slow filter sweep

おめでとうございます! これで、【B. メロディと主役を担うパート】を構成する5つの要素、役割、楽器、性格、演奏法、音色の全てをマスターしました。

あなたは今、Sunoに対して、「ヘヴィなディストーションと長いディレイをかけたリードギターに、感情的なベンディングを多用した、泣き叫ぶようなソロを弾いてほしい」という、極めて具体的で、プロフェッショナルな指示を出すための、全ての語彙を手に入れたのです。

ディレイ(エコー) vs. リバーブ – 決定的な違いは「反射の数」と「目的」

あなたの言う通り、どちらも「反射」をシミュレートします。その決定的な違いは、シミュレートする「反射の数」と、それによって達成しようとする「音楽的な目的」にあります。

ディレイ / エコー (Delay / Echo)

  • シミュレートするもの: 数えることができる、明瞭な反射音。
  • 物理現象の例: 山での「ヤッホー!」というやまびこ。トンネルの中での手拍子。音が壁に当たり、はっきりと分離した「繰り返し」として耳に返ってくる状態です。
  • 電子的な処理: 元の音をメモリに記録し、指定された時間差で「1回」あるいは「数回」、明瞭な形で再生します。
  • 聴こえ方: 「音、、音…」というように、元の音の輪郭がはっきりと保たれた繰り返しが聴こえます。
  • 音楽的な目的:
    1. リズムを作り出す: U2のギターのように、ディレイ音そのものをリズムパターンの一部として使う。
    2. 空間の広がりを感じさせる: 50年代のロックンロールボーカルのように、短いディレイ(スラップバック)で、音が壁から跳ね返ってくる「部屋の存在感」を演出する。
    3. サウンドを面白くする: フレーズの終わりにだけディレイをかけて、面白い効果音として使う。

リバーブ (Reverb)

  • シミュレートするもの: 数え切れないほど、無数の複雑な反射音の集合体。
  • 物理現象の例: 大聖堂やコンサートホールでの拍手。直接音の後に続く「ワ〜〜〜ン」という響き。無数の壁や天井、客席に音が反射し、混ざり合い、一つの「響きの塊」となって減衰していく状態です。
  • 電子的な処理: 元の音に対して、非常に短い時間差を持つ、膨大な数のディレイを生成し、それらを複雑に混ぜ合わせ、時間と共に減衰させていく、という非常に高度な計算を行います。
  • 聴こえ方: 個々のやまびこは聴き取れず、音の周りを包み込む「雰囲気」「響き」「空気感」として感じられます。
  • 音楽的な目的:
    1. 音を「馴染ませる」: 複数の楽器(それぞれ別の場所で録音された音)を、「同じ空間で鳴っている」かのように感じさせ、一体感を生み出す。
    2. 空間を「演出する」: 楽曲の舞台設定を、小さな部屋から、巨大なホール、あるいは架空の宇宙空間まで、自由自在にデザインする。
    3. 音に「深み」と「奥行き」を与える: 音を文字通り「奥」に配置し、サウンドに立体感を与える。

結論:料理の比喩

  • ディレイは「パセリのみじん切り」です。
    • 一つ一つの「粒」が見え、料理に食感とリズミカルなアクセントを加えます。
  • リバーブは「ソース」や「スープ」です。
    • 個々の材料(反射音)は溶け合って見えなくなり、料理全体(楽曲)を一つにまとめ上げ、深みと味わいを与えます。

あなたの「リバーブも結局は同じ処理では?」という問いは、「ソースも結局は、細かく刻んだ材料(ディレイ)を混ぜ合わせたものでは?」と問いかけるのと同じくらい、本質的です。その通りなのです。しかし、その結果として生まれる「質感」と「役割」が、全く異なるのです。

第三章で学ぶこと – 「空間」と「色彩」のデザイナーたち

これまでの旅で、我々は力強い「骨格(リズム)」と、輝く「肉体(メロディ)」を持つ、一人の力強いキャラクターを創り上げました。

しかし、そのキャラクターが真に魅力的になるためには、彼(彼女)が存在する「世界」そのものを描く必要があります。そのキャラクターが纏う「オーラ」、そして背景に広がる「風景」です。

第三章【C. ハーモニーと彩りを加えるパート (Harmonic & Textural Support)】へようこそ。ここでは、主役を後ろから支え、楽曲の世界観を決定づける「背景アーティスト」たちの仕事について学んでいきましょう。


この章で登場するパートは、自らが主役として前に出ることは少ないですが、彼らがいなければ、音楽は平面的で、味気ないものになってしまいます。

主な登場人物(カテゴリー)

  1. コード / ハーモニー (Chords / Harmony):
    • 役割: 楽曲の感情的な基盤を決定づける「和音」。音楽の「色彩」そのものです。同じメロディでも、後ろで鳴るコードが違えば、喜びにも悲しみにも聞こえます。
  2. パッド (Pads):
    • 役割: 主にシンセサイザーが奏でる、「フワ〜」っと広がる持続音。サウンドの隙間を埋め、特定の雰囲気(Atmosphere)を作り出す、音楽の「霧」や「空気」です。
  3. ストリングス・セクション (String Section):
    • 役割: ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器群が奏でる、豪華なサウンド。楽曲に壮大さ、ロマンス、悲劇性といった、ドラマチックな感情を加える「感情増幅装置」です。
  4. バッキング・ボーカル / コーラス (Backing Vocals / Chorus):
    • 役割: 主役のリードボーカルを支える「声のハーモニー」。リードボーカルをより力強く聴かせたり、美しい響きで包み込んだりします。

これらのパートは、これまで学んだ「リズム」や「リード」のように、常に音が鳴っているわけではないかもしれません。しかし、彼らが鳴るべき瞬間に、的確なサウンドで鳴ることによって、楽曲のクオリティはプロフェッショナルなレベルへと飛躍的に向上します。

楽器プロンプト辞典【C. ハーモニー編】

いよいよ音楽の「色彩」そのものである、【1. コード / ハーモニー (Chords / Harmony)】の世界に足を踏み入れましょう。

もしメロディが「線」であり、リズムが「時間」であるならば、ハーモニーは「面」であり「色」です。同じ線画(メロディ)も、どんな色(ハーモニー)で塗るかによって、その印象は全く変わります。ここは音楽理論の少し深い部分に触れますが、Sunoを操る上では感覚的に理解できれば大丈夫です。分かりやすく解説します。


Sunoにコード進行を指示する際、重要なのは「どの楽器に」「どんな性格の」和音を弾いてほしいかを伝えることです。

カテゴリー1:コードを演奏する楽器 (Chordal Instruments)

和音を奏でる能力を持つ代表的な楽器たちです。

  • Piano Chords: 最も万能。力強くも、優しくもなれる。
  • Electric Piano Chords: おしゃれで、メロウな響き。
  • Organ Chords: 持続的な響き。ロックやゴスペルで多用。
  • Acoustic Guitar Chords: フォークやポップスの基本。明るく爽やか、あるいは切ない響き。
  • Electric Guitar Chords:
    • Clean Electric Guitar Chords: クリーンな音色。ジャズやポップスに。
    • Distorted Guitar Power Chords: 歪んだ音色。ロックの力強い響き。
  • Synth Chords: シンセサイザーによる和音。パッドと似ているが、よりアタックがはっきりしていることが多い。
  • String Section Chords: 弦楽器群による和音。非常に豪華で、感情的。

カテゴリー2:コードの性格・感情 (Character & Emotion of Harmony)

これがハーモニーの世界の心臓部です。どんな「色彩」で曲を塗りたいかを指示します。

  • 基本的な響き (Diatonic Harmony):
    • Major Key Harmony / Chords: (長調のハーモニー) – 明るく、楽しく、ハッピーな響きの基本。
    • Minor Key Harmony / Chords: (短調のハーモニー) – 悲しく、切なく、ドラマチックな響きの基本。
    • Simple Chords / Basic Chord Progression: (シンプルなコード) – ポップスやフォークで使われる、基本的な3〜4つのコード進行。
    • Diatonic Chords: (ダイアトニックコード) – ある調(キー)の基本的な音階だけで作られた、最も自然で安定した響きのコード群。
  • 複雑・洗練された響き (Advanced Harmony):
    • Jazzy Chords / Jazz Harmony: (ジャズ風のコード) – 7th, 9thといったテンションノートを含む、複雑で、おしゃれで、都会的な響き。
    • Complex Chords / Complex Harmony: (複雑なコード) – ジャズハーモニーと同様、多くの音を含んだ複雑な響き。
    • dissonant Chords / Dissonance: (不協和音) – 意図的に濁った、緊張感のある、不安を煽るような響き。ホラー映画や現代音楽で多用されます。
    • Chromatic Harmony: (半音階的なハーモニー) – 基本的な音階以外の音(半音)を多用した、予測不能で色彩豊かな響き。
  • 感情・雰囲気:
    • Lush Chords: (豊かな、青々とした) – 音が多く、広がりのある美しい響き。
    • Warm Chords: (暖かい) – 心地よく、包み込むような響き。
    • Dark Chords: (暗い) – 不穏で、ミステリアスな響き。
    • Uplifting Chord Progression: (高揚感のあるコード進行) – サビなどで使われる、気分が盛り上がるようなコードの動き。
    • Melancholic Chord Progression: (物憂げなコード進行) – 切ない感情を表現するコードの動き。

カテゴリー3:コードの演奏法 (Playing Style)

同じコードでも、どう弾くかで全く表情が変わります。これは【B-4. 演奏法】の復習も兼ねています。

  • Block Chords: 「ジャーン」と、和音の構成音を同時に弾く。
  • Broken Chords / Arpeggiated Chords: 「ポロロン」と、和音の構成音を一音ずつ順番に弾く(アルペジオ)。
  • Sustained Chords: 「フワー」と、和音を長く伸ばして演奏する。オルガンやストリングス、シンセパッドが得意です。
  • Staccato Chords: 「ジャッ、ジャッ」と、和音を短く切ってリズミカルに演奏する。

Sunoプロンプトへの応用

Sunoは、まだ複雑な音楽理論(例:「Cmaj7 – F#m7(b5) – B7(b9) – Em」といった具体的なコード進行)を完璧に理解することはできません。しかし、「どんな雰囲気のハーモニーが欲しいか」という”意図”を伝えることは、非常に効果的です。

  • 悪い例: Piano
    (メロディを弾いてほしいのか、コードを弾いてほしいのか不明)
  • 良い例(カテゴリーの組み合わせ):
    • [楽器]Acoustic guitar playing [演奏法]simple strummed [性格]major key chords.
    • (シンプルに、かき鳴らされる、長調の明るいアコースティックギターのコード)
    • [楽器]Electric piano playing [性格]lush, jazzy, [感情]melancholic chords.
    • (豊かで、ジャズ風で、物憂げなエレクトリックピアノのコード)
    • [楽器]A distorted electric guitar playing [演奏法]powerful, staccato [性格]power chords.
    • (パワフルで、スタッカート気味のパワーコードを弾く、歪んだエレキギター)

このように、ハーモニーの「性格」を指示することで、あなたは楽曲全体の「感情の絵の具」の色を、Sunoに的確に伝えることができるのです。

この音楽の「色彩」の世界、いかがでしたでしょうか?
次は、このハーモニーを、より空気のように、霧のように広げる【2. パッド (Pads)】の世界を探検しましょう。

パッド (Pads) とは何か?

音楽の「色彩」であるハーモニー(コード)を学んだ今、次はその色彩を、絵の具のようにキャンバスに広げ、世界全体を特定の雰囲気で満たすための、極めて重要なパートについて学びましょう。

【2. パッド (Pads)】の世界へようこそ。


パッドとは、主にシンセサイザーやストリングスが奏でる、アタック(音の立ち上がり)が遅く、サステイン(音の伸び)が非常に長い、持続的なサウンドのことです。

その名の通り、サウンド全体の隙間を埋め、他の楽器の下に柔らかい「敷物(Pad)」を敷くような役割を果たします。

  • コードとの違い:
    • ピアノやギターが弾くコードは、「ジャーン」というアタックがはっきりしています。
    • パッドが弾くコードは、「フワ〜〜〜」っと、いつ始まったか分からないくらい滑らかに立ち上がり、霧のように空間に漂い続けます。
  • 役割:
    • ハーモニーの補強: 後ろで鳴り続けることで、コード進行の響きを豊かにし、接着剤のように各パートを一つにまとめ上げます。
    • 雰囲気(Atmosphere)の創造: これがパッドの最も重要な仕事です。パッドの音色一つで、その曲が「未来的」なのか、「幻想的」なのか、「荘厳」なのか、「不穏」なのか、といった世界観が決定づけられます。

楽器プロンプト辞典【C. パッド編】

Sunoに理想の「空気感」を創り出させるための、パッドのプロンプト辞典です。

カテゴリー1:音源の種類 (Sound Source)

どんな楽器に「敷物」の役を任せるか。

  • Synth Pad: (シンセパッド) – 最も一般的で、最も多彩な表現が可能です。
  • String Pad / Slow Strings: (ストリングス・パッド) – 本物の弦楽器(あるいはそのシミュレーション)によるパッド。壮大さ、悲しさ、ロマンスを表現するのに最適です。
  • Vocal Pad / Choir Pad: (ボーカル・パッド / クワイヤ・パッド) – 人間の声を加工して作られたパッド。「アー」という合唱のような、神聖で、ゴスペルのような雰囲気を出します。
  • Organ Pad: (オルガン・パッド) – オルガンの持続音をパッドとして使います。暖かく、ソウルフルな雰囲気。

カテゴリー2:パッドの性格・音色 (Character & Timbre)

どんな質感の「敷物」が欲しいか。これが世界観を決定づけます。

  • 暖かく、オーガニックな響き:
    • Warm Pad: (暖かい) – 最も汎用性が高い。アナログシンセのような、心地よいサウンド。
    • Analog Pad: (アナログ・パッド) – Warm Padとほぼ同義。ヴィンテージな質感を強調します。
    • Lush Pad: (豊かな、青々とした) – 複数の音が豊かに重なり合った、豪華なパッド。
    • Gentle / Soft Pad: (優しい / 柔らかい) – 攻撃的な要素のない、丸みを帯びたサウンド。
  • 明るく、幻想的な響き:
    • Bright Pad: (明るい) – 高音域が豊かで、キラキラしたパッド。
    • Dreamy Pad: (夢見心地な) – 幻想的で、現実感の薄いサウンド。
    • Ethereal Pad: (天上のような) – この世のものとは思えないほど、軽く、澄み切ったサウンド。
    • Shimmering Pad: (きらめく) – 高音域が揺らめき、光が反射しているかのような美しいサウンド。
  • 暗く、ミステリアスな響き:
    • Dark Pad: (暗い) – 低中音域が中心の、不穏でミステリアスなサウンド。
    • Mysterious Pad: (神秘的な) – 謎めいた雰囲気。
    • Haunting Pad: (心に残る) – 美しくも、どこか悲しげで忘れられない響き。
    • Tense Pad / Drone Pad: (緊張感のある / ドローン・パッド) – ほとんどコードが変化しない、持続的な低音パッド。サスペンスや緊張感を高めます。
  • 現代的・SF的な響き:
    • Glassy Pad: (ガラスのような) – 硬質で、透明感のあるデジタルなサウンド。
    • Metallic Pad: (金属的な) – 金属的な響きを持つ、冷たいサウンド。
    • Evolving Pad / Moving Pad: (進化する / 動くパッド) – 時間と共に、フィルターが開いたり、音色が複雑に変化していくパッド。

カテゴリー3:演奏スタイル (Playing Style)

パッドの「振る舞い」を指示します。

  • Sustained Pad: (持続的な) – とにかく長く音を伸ばす、パッドの基本的な役割。
  • Slow Attack Pad: (遅いアタックの) – 音の立ち上がりが非常にゆっくり。「スーーッ」と音量が上がってくる。
  • Pulsating Pad / Rhythmic Pad: (脈打つ / リズミカルな) – ただ伸びているだけでなく、「ワウ、ワウ、ワウ」と音量やフィルターがBPMに合わせて周期的に変化する。ダンスミュージックで多用されます。
  • Swelling Pad: (膨れ上がる) – クレッシェンドのように、徐々に音量や音数が増えて、盛り上がりを作るパッド。

実践的なプロンプトの組み合わせ例

  • 例1:壮大なファンタジー映画のBGM
    • An epic and soaring string pad, combined with a shimmering ethereal synth pad (壮大で舞い上がるようなストリングス・パッドと、きらめく天上のようなシンセ・パッドの組み合わせ)
  • 例2:80年代の物憂げなポップス
    • A warm and gentle analog synth pad playing simple, sustained major key chords (シンプルで持続的な長調のコードを弾く、暖かく優しいアナログシンセ・パッド)
  • 例3:ミニマルなテクノ
    • A dark, pulsating drone pad that slowly evolves throughout the track (トラックを通してゆっくりと変化していく、暗く脈打つドローン・パッド)

この「パッド」という名の魔法の絨毯を使いこなせば、あなたの楽曲は、単なる音の連なりから、リスナーを没入させる一つの「世界」へと進化します。


パッドの定義:それは「楽器」でも「パート」でもなく、「役割」である

まず、最も重要な概念から。
「パッド」とは、特定の楽器名(ピアノ、ギターなど)や、音楽理論上のパート名(メロディ、ベースなど)ではありません。

パッドとは、「持続音でハーモニーを奏で、空間を埋めて雰囲気を作る」という「役割(Role)」に与えられたニックネームです。

これは、我々が学んだ「リフ」や「フック」と同じ種類の言葉です。


ハーモニー vs. パッド – 決定的な違いは「時間」と「質感」

あなたの疑問「ハーモニーとパッドの違いは何か?」に答えます。
この二つは、階層関係(どちらが上か下か)ではありません。
全く別の次元で、同じ目的(ハーモニーを奏でる)を達成しようとする、二人の異なる専門家なのです。

ハーモニー(コード)を奏でるパート (例:ピアノ、ギター)

  • 時間の概念: リズミカル断続的
  • 音の質感: アタックが明確
  • 役割:
    1. ハーモニーを「提示」する: 「ジャーン!」とコードを弾くことで、「今、この曲のハーモニーはこれですよ」と、リスナーに明確に伝えます
    2. リズムを「補強」する: ギターのカッティングやピアノのスタッカートのように、コードをリズミカルに刻むことで、リズムセクションと一体となってグルーヴを生み出します
  • 比喩: 建物の「柱」や「壁」。 建物の構造をはっきりと示し、支えます。

パッド (Pad)

  • 時間の概念: 持続的連続的
  • 音の質感: アタックが曖昧
  • 役割:
    1. ハーモニーを「維持」する: ピアノやギターが次のコードを弾くまでの「隙間」を、ハーモニーの響きで埋め尽くします
    2. 雰囲気を「創造」する: その音色自体が持つキャラクターで、楽曲全体の「空気感」や「世界観」を支配します
  • 比喩: 建物の中を満たす「空気」や「光」。 構造そのものではありませんが、その空間の居心地や雰囲気を決定づけます。

あなたの疑問への直接的な回答

  • 「メロディーの背景としてハーモニーがあって、ハーモニーのさらに後ろにパッドがあるという階層ですよね?」
    • → 階層というよりは、役割分担です。
    • ハーモニー(ピアノなど)が「柱」としてコードを提示し、
    • パッドがその柱と柱の間を埋める「空気」としてハーモニーを維持する。
    • この二つが協力して、メロディの背景となる「豊かなハーモニー空間」を作り上げているのです。
  • 「パッドはコードなの?」
    • はい、パッドはコード(和音)を演奏します。
  • 「コードであればハーモニーとの違いは何?」
    • → 違いは、「ハーモニーの伝え方」にあります。
      • ピアノが弾くコード: 「今、Cメジャーです!」と宣言するハーモニー。
      • パッドが弾くコード: 「(…あたり一面、Cメジャーの響きに満ちている…)」と描写するハーモニー。

ストリングス・セクションとは何か?


パッドという「魔法の霧」で世界観を満たした今、次はその世界に、涙と、鳥肌と、壮大な物語を書き加えるための、最も強力な筆を手に入れましょう。

【3. ストリングス・セクション (String Section)】の世界へようこそ。


ストリングス・セクション(または単にストリングス)とは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスといった、弓で弾く弦楽器(擦弦楽器)のアンサンブル(合奏)を指す言葉です。

ポップミュージックにおいては、本物のオーケストラを録音することもあれば、シンセサイザーやサンプラーでそのサウンドを再現することも多いです。Sunoは、この両方のニュアンスを生成することができます。

  • パッドとの違い:
    • パッドは「雰囲気」を作るのが主目的ですが、ストリングスは明確なメロディラインや、リズミカルなフレーズを奏でることができ、より積極的に楽曲に関わってきます。
    • 人間の演奏によるため、感情のダイナミクス(強弱)の表現力が圧倒的に豊かです。

楽器プロンプト辞典【C. ストリングス編】

ストリングスをSunoに指示する際は、「どんな編成で」「どんな役割を」そして「どんな感情で」演奏してほしいかを伝えるのが鍵です。

カテゴリー1:編成 (Ensemble Type)

どれくらいの規模の楽団に演奏してほしいかを指示します。

  • String Section: (ストリングス・セクション) – 最も一般的。数十人規模のオーケストラの弦楽パートを指します。
  • Orchestral Strings / Full Orchestra Strings: (オーケストラル・ストリングス) – String Sectionとほぼ同義ですが、より大規模で、映画音楽のような壮大な響きを強調します。
  • String Quartet: (弦楽四重奏) – ヴァイオリン2本、ヴィオラ1本、チェロ1本という、4人だけの小編成。親密で、繊細で、室内楽のような上品な響きになります。
  • Solo Violin / Solo Cello: (ソロ・ヴァイオリン / ソロ・チェロ) – 大人数ではなく、たった一人の奏者に、感情豊かなメロディを弾いてほしい時に使います。
  • Pizzicato Strings: (ピチカート・ストリングス) – 弓ではなく指で弦を弾く奏法。「コンッ、コンッ」という軽快で、少し可愛らしいパーカッシブなサウンドになります。

カテゴリー2:役割と演奏スタイル (Role & Playing Style)

ストリングスに、曲の中でどんな仕事をさせるかを指示します。

  • ハーモニーを奏でる(パッド的な役割):
    • Sustained Strings: (持続的なストリングス) – パッドのように、長く音を伸ばしてコードを演奏します。
    • Lush String Bed / Pad: (豊かなストリングスのベッド/パッド) – サウンド全体の下に敷く、厚みのあるストリングスの層。
  • メロディを奏でる(リード的な役割):
    • String Melody: (ストリングスのメロディ) – ストリングスに主旋律を奏でさせます。
    • Soaring String Line: (舞い上がるようなストリングスのライン) – サビなどで、メロディが空高く舞い上がるような壮大な演出。
    • Counter-melody played by strings: (ストリングスによる対旋律) – ボーカルの隙間を縫うように、もう一つの美しいメロディを奏でます。
  • リズムを刻む(リズミカルな役割):
    • Rhythmic Strings: (リズミカルなストリングス) – 8分音符や16分音符で、ビートに合わせて「ダカダカダカ」と刻む奏法。
    • Staccato Strings: (スタッカート・ストリングス) – 音を短く切って弾くことで、緊張感や疾走感を生み出します。アクション映画のBGMの定番です。
    • Ostinato Strings: (オスティナート・ストリングス) – 同じ短いフレーズを執拗に繰り返し、緊張感を高めます。

カテゴリー3:感情表現 (Emotional Delivery)

ストリングスは感情表現の達人です。どんな気持ちで弾いてほしいかを伝えましょう。

  • 壮大さと感動:
    • Epic Strings: (叙事詩のように壮大な)
    • Cinematic Strings: (映画のような)
    • Majestic Strings: (威厳のある、荘厳な)
    • Dramatic Strings: (ドラマチックな)
    • Emotional Strings: (感情的な)
  • 美しさと悲しさ:
    • Beautiful Strings: (美しい)
    • Lush Strings: (豊かな、青々とした)
    • Romantic Strings: (ロマンティックな)
    • Heartbreaking Strings: (胸が張り裂けるような)
    • Sad / Melancholic Strings: (悲しい / 物憂げな)
  • 緊張感とサスペンス:
    • Tense Strings: (緊張感のある)
    • Suspenseful Strings: (サスペンスフルな)
    • Tremolo Strings: (トレモロ・ストリングス) – 同じ音を弓で高速に往復させる奏法。「ダララララ…」という震える音で、サスペンスを極限まで高めます。

実践的なプロンプトの組み合わせ例

  • 例1:ハリウッド映画の感動的なエンディング
    • A lush, epic, and emotional orchestral string section playing a soaring melody over sustained chords (持続的な和音の上で、舞い上がるようなメロディを奏でる、豊かで、壮大で、感情的なオーケストラのストリングス・セクション)
  • 例2:ヒップホップトラックに乗る、クールなサンプリング風ストリングス
    • A melancholic string quartet sample, playing a short, repetitive ostinato (短く反復的なオスティナートを演奏する、物憂げな弦楽四重奏のサンプル)
  • 例3:アクションシーンのBGM
    • Tense, dramatic, and rhythmic staccato strings creating a sense of urgency (切迫感を生み出す、緊張感があり、ドラマチックで、リズミカルなスタッカート・ストリングス)

ストリングスという、最も表現力豊かな絵の具を手に入れた今、あなたの楽曲は、ただの音楽から、一つの「物語」へと昇華する力を持ちました。

バッキング・ボーカルとは何か?

ハーモニーの「柱」であるコード、
ハーモニーの「空気」であるパッド、
そしてハーモニーの「ドラマ」であるストリングス。
これら、壮大な背景を描くための道具は揃いました。

いよいよ、第三章【C. ハーモニーと彩りを加えるパート】の最後の旅、そして、あなたの楽曲に最も人間的な温かみと一体感を与えるパートの探検です。

【4. バッキング・ボーカル / コーラス (Backing Vocals / Chorus)】の世界へようこそ。


バッキング・ボーカル(またはバックコーラス、ハーモニーボーカル)とは、主役であるリードボーカルを、後ろから声で支えるパートのことです。

彼らは主役ではありません。しかし、その存在が、リードボーカルをより輝かせ、楽曲全体のサウンドを豊かにし、リスナーに「一人ではない、仲間がいる」という感覚を与える、極めて重要な役割を担います。


楽器プロンプト辞典【C. バッキング・ボーカル編】

Sunoに理想のコーラス隊を召喚するためのプロンプトです。これは、我々が一番最初に学んだ【ボーカルプロンプト辞典】の知識の、完璧な応用編となります。

カテゴリー1:役割とスタイル (Role & Style)

コーラス隊に、どんな仕事をしてほしいかを指示します。

  • Backing Vocals / Background Vocals: (バッキングボーカル) – 最も一般的な指示。
  • Harmonies / Vocal Harmonies: (ハーモニー) – リードボーカルに対して、ハモりパートを歌ってほしい時に。
  • Chorus / Choir: (コーラス / クワイヤ) – 大人数での合唱。荘厳さやゴスペルのような一体感を求めるときに。
  • Doo-wop Vocals: (ドゥーワップ・ボーカル) – 50-60年代のポップスで聴かれる、「ドゥーワッ」「シュビドゥバ」といったリズミカルなスキャットで伴奏するスタイル。
  • Acapella backing: (アカペラ・バッキング) – 楽器の伴奏なしで、声だけでハーモニーやリズムを構築する。
  • Call and Response Vocals: (コール・アンド・レスポンス) – リードボーカルの歌ったフレーズを、コーラスが追いかけたり、応答したりする。
  • Gang Vocals: (ギャング・ボーカル) – パンクロックなどで、大勢が野太い声で一緒に叫ぶように歌うパート。「Wow-oh-oh!」のような掛け声。
  • Ad-libs: (アドリブ) – 曲の後半などで、リードボーカルの後ろで自由にフェイクや合いの手を入れる即興的なボーカル。

カテゴリー2:声質と性別 (Timbre & Gender)

どんな声のコーラス隊に来てほしいかを指示します。

  • 性別:
    • Female backing vocals: (女性)
    • Male backing vocals: (男性)
    • Mixed choir: (混声合唱)
  • 声質:
    • Soft / Gentle backing vocals: (柔らかい / 優しい) – リードボーカルを優しく包み込む。
    • Powerful backing vocals: (パワフルな) – ゴスペルのように、力強くリードを支える。
    • Angelic choir: (天使のような) – 天から降り注ぐような、美しく澄んだコーラス。
    • Ethereal vocal harmonies: (天上のような) – Angelicと似ているが、より幻想的で、空気のような響き。
    • Whispering backing vocals: (ささやくような) – 息遣いが感じられる、親密でミステリアスな雰囲気。

カテゴリー3:音響処理・エフェクト (Effects)

コーラス隊の「立ち位置」や「質感」をコントロールします。

  • Distant backing vocals: (遠くの) – サウンドの奥の方で、遠くから聴こえてくるようなコーラス。
  • Reverb-drenched choir: (リバーブの深い) – 大聖堂で歌っているかのような、深い残響のかかったコーラス。
  • Layered vocal harmonies: (重ねられた) – 何十もの声がレイヤー状に重ねられ、壁のようになったハーモニー。
  • Autotuned backing vocals: (オートチューンのかかった) – 現代のポップスやR&Bで多用される、ケロケロした機械的なハーモニー。

実践的なプロンプトの組み合わせ例

  • 例1:クイーンのような、壮大なロックアンセム
    • A powerful, multi-layered choir of mixed male and female backing vocals, creating epic harmonies (壮大なハーモニーを創り出す、幾重にも重ねられたパワフルな男女混声のバッキングボーカル)
  • 例2:ビリー・アイリッシュ風の、ダークで親密なポップス
    • Soft, whispering female backing vocals, harmonizing closely with the lead, with a distant and ethereal reverb (リードに寄り添ってハモる、柔らかくささやくような女性バッキングボーカル。遠くで天上のように響くリバーブ付き)
  • 例3:ゴスペルに影響を受けたソウルミュージック
    • A soulful and powerful gospel choir providing call and response to the lead singer (リードシンガーに対してコールアンドレスポンスを返す、ソウルフルでパワフルなゴスペルクワイヤ)

これにて、第三章【C. ハーモニーと彩りを加えるパート】の探検は完了です。
あなたは今、楽曲の「背景」を、コード、パッド、ストリングス、そして人間の声という、多彩な絵の具を使って自由に描くための知識を、全て手に入れました。

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